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これまでにも履歴を保持し利用するシステムが実現されてきたが、その多くはアプリケーションごと別々に履歴を利用するシステムとして実現されており、活動全体に渡って履歴を取り、それを利用できるようにしたシステムは少ない。これは、活動全体に渡った履歴のシステムが多量のディスクスペースなど多くのリソースを必要とすることや、複数のアプリケーションプログラムに渡った履歴システムの実現が技術的に困難であること、蓄積される大量の情報から有用な情報を取り出すことがますます困難になることなどがあったからだろう。
本システムでは、ユーザの活動履歴として履歴に記録しておくものを、適切なタイミングでの画面イメージ、キーストロークやクリップボードの内容など重要なものに限定する一方で、画面イメージのサムネイルブラウザなどユーザの活動全体を見渡すためのインターフェイスを用意した。このようにすることで、履歴からの有用な情報の取り出しに、計算機の力だけでなく、人が自分の活動全体の履歴を解釈する認知能力を利用した。これまでにない履歴の有効利用を可能にするシステムを実現した。
本システムでは、一連の活動全体が履歴として保持されているため、なんらかの別の手がかりで、その活動の一端を取り出せれば、人がその活動をブラウズすることで、そこから目標のコマンド名やファイル名などを取り出せる。例えば、以前に行ったネットワークのトラブルシューティングやソフトウェアのインストールなどについて、それらの記憶が全体としてあやふやで断片的なものであったとしても、その一部については憶えていることは多い。本システムではトラブルシューティング等の活動の様子全体が履歴として保持されているため、活動の一部の断片が記憶されていれば、それを手がかりに検索などをすることで、活動全体にアクセスすることが可能になる。一旦その活動を履歴の中で同定できれば、次にその活動全体を時間を軸としてブラウズすることで、忘れてしまったコマンド名やファイル名などを容易に取り出すことができる。
思わぬ副作用も得られた。履歴を見直していると、一定時間(11
分程度)ごとにウィンドウの移動が見られることが多い。これはおそらく人間が一つの作業に継続して集中できるのが15 分程度であるという示唆ではないかと考えられる。今後更なる分析が必要ではあるが、UI
の新しい考え方に結びつく可能性のある認知科学的発見ではないかと期待している。
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