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2004年度第1回未踏ソフトウェア創造事業 成果評価報告書(プロジェクト全体について)



 プロジェクトマネジャー: 酒井 裕司 (株式会社イグナイトジャパン ジェネラルパートナー)



1.プロジェクト全体の概要


 当プロジェクトでは、提案者によるオープンソースをターゲットとした開発を、その管理過程も含めアクセス頻度の高いメディアに公開することにより、提案者自身のインスピレーションを刺激し、国内開発コミュニティーとのポジティブな相互フィードバックが行われることを目指した。
  特に個人/アイディアの魅力がコミュニティーを巻き込んで自立的に拡大していく要因をカリスマと呼ぶのであれば、この要素を持つ個人こそ未踏の対象としてふさわしく、そこに、メディアの拡散力がうまく機能することが究極のねらいといえる。


 

 提案プロジェクトにおける開発項目は、その進捗を含め、国内開発コミュニティーの関心を集め、提案者の創造意欲にも大きく貢献した。

 



2.プロジェクト採択時の評価(全体)


 開発者の良否は、その成果物が有用と評価され多くの人に使われることが確定的最終評価基準といえる。つまりポテンシャルはあるが成果が出ない人は良いとはいえない。
 ただし、未踏の段階では、提案者がそこに至る要素を持つことを選定の基準とした。
 その要素とは


 1.有用性を持つアイディアを発案すること
 2.アイディアの実現に至る継続力を持つこと
 3.実現に不可欠な他者の協力/コミュニティーの組成をリードできること
である。

 

 特に、3の要素は複雑さを増す今日的なアプリケーションを前提とすれば不可欠な要素であり、公開性とメディアでの露出を前提とした当プロジェクトでの成果の増幅が期待できるため特に重視したポイントである。
 当初、前期応募案件の中には大学の研究室での補完的な予算の確保を目指したと思われる提案が多数存在した。それらは継続的学術研究として行う価値は高いものの今日的な技術レベルでは有用性が低かったり、広がりが限定的であると考えられたため採択の対象とはしなかった。
 前期採択対象とした提案は、組織的な後ろ盾を持たないでも、提案者が実現に向けての継続を行い、自ら実現に向けてのチームを構成を主導している提案三件であった。

 ただし、それぞれ経済的背景やキャリアから提案への作業量が限定的になったり、あるいは、アプリケーションの性質から必要と推定されるコード量と提案上の作業規模/予算に乖離があることなどが課題であった。提案者の多くが一個人の経済的尺度で考え、広く使われるアプリケーションに必要とされるバジェットの感覚を持たなかったことが原因だろう。

 



3.プロジェクト終了時の評価


 個別の被採択者は社会人エンジニアとしての経験を持っていたこともあり、おおむね提案プロジェクトの内容に沿ってまとめ上げている。採択案件の中には、メディアで機能を知った企業エンジニアから是非実用システムにおける運用を行いたいという強い引き合いを受けているものもある。
 ただし、成功の度合いとして評価をするならば、「中程度」といった状態であると考えている。

 

 うまくいったこと
 ・個別プロジェクトは概ね予定通りの進捗を示した
 ・未踏の活動に無関心な職業エンジニアの関心を引くことには成功した
 ・個別のプロジェクトは、1万5千人程度のエンジニアが定期的にチェックを行った

 

 期待したほどではなかったこと
 ・関心を示したエンジニアが、コミュニティーを形成し参加を表明してくるまでには至らなかった
 ・メディア露出の効果は、プロジェクト告知と提案者自身のモチベーションには寄与したが、相互的な影響を増幅させるまでには至らなかった



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