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2004年度第1回未踏ソフトウェア創造事業  採択案件評価書


 



1.担当PM


 中島 達夫早稲田大学 理工学部コンピュータ・ネットワーク工学科 教授



2.採択者氏名


 代表者

丸一 威雄(メタウェアリサーチ有限会社 代表取締役)

共同開発者

なし



3.プロジェクト管理組織


 メタウェアリサーチ有限会社



4.委託金支払額


 9,374,650円



5.テーマ名


 ユビキタス環境で複合現実感をサポートする基盤ソフトウェアの開発



6.関連Webサイト


 



7.テーマ概要


 ユビキタス環境下では、位置情報が1つの重要なテーマとして認識されてきているが、これまでは2次元の位置情報システムが数多く取り上げられてきた。もし、向いている方向や、姿勢まで三次元的な情報がわかると実際の風景に対して、三次元の仮想空間情報を重ねて表示することができ、記号、文字情報等で説明したり、建造物の構造を実写に重ねて表示することも可能になる。

  本プロジェクトでは、屋外での位置、方向、姿勢を計算し、求めた位置でバーチャル情報を現実風景に重ねて表示する三次元情報の表示ツールを開発目標とする。実際の表示方法として、透過型のヘッドマウントディスプレイを使って見ている風景上にユーザの興味ある情報を重ねて表示する方法と、ビデオ画像をリアルタイムで仮想空間と重ねて表示する方法を開発する。コンテンツ・データベースを実世界の像と重ねて表示することにより複合現実感を実現させる。



8.採択理由


 複合現実感はユビキタス環境を実現する技術として極めて重要なものである. 提案者はGISシステムの開発に関する長い経験があり, GISの観点から複合現実感とGISを統合することはテーマとしての新規性も高いと考えられる. また, 提案者は, 実際にデモシステムを構築することで, 新しいビジネス分野を開拓することを考えているなど未踏事業のテーマとしてふさわしいものであると考えられる.



9.開発目標


 本プロジェクトを、大きく4つに分ける。(1)実世界3次元空間でのユーザの立っている位置、姿勢を三次元座標、ベクトル情報として取得する機能の開発。(2)仮想世界を表現するための三次元ビューア。(3)仮想世界を表すコンテンツ・データベースの準備。(4)現実空間と仮想空間を重ねて表示させる技術の開発。

  これら4つの要素を連携させることにより、実際に仮想世界を現実世界に合わせて表示できる。



10.進捗概要


 当初の計画は多少の変更はあったが4つの開発分野はほぼ達成できた。ただし、精度の高いGPSを安価なGPSデバイス2つを使って、1台を基準点に固定させて距離を測ろうと思ったが、誤差のある位置を2つ使っても誤差は減らないことがわかり、これについては高価なRTK−GPSを購入すればよいと判断し、プロジェクトからは外した。

  当初は、ヘッドマウントディスプレイと、ビデオ画像のどちらかできればよいと計画していたが、両方とも実験することができた。一方で、コンテンツについては、CADデータや写真データの読み込みなど、やれるところまで実験しようと考えていたが、仮想空間と実世界の画面あわせの部分で、方法を探したり、実験等に時間がかかり、データに高低差をつけて三次元表示する基本的な部分の開発に留まった。



11.成果


 実験システムではあるが、3次元ビューアを中心とした複合現実感システムを作ることができた。

  当初は、ヘッドマウントディスプレイに表示し、ウェラブルコンピューティングと結びつける方向が有効であると予想していたが、透過型ヘッドマウントディスプレイは、自分の目でディスプレイと実像を重ねあわせなければならずそれぞれ焦点が違うせいもあり、目が疲れて長時間は使いにくいことがわかった。実験ではビデオ画像との重ね合わせの方が、ユーザは1つのディスプレイを見ているだけでいいので目の負担にはならないため使いやすい。 ビデオ画像を使う方法であれば、遠隔地のカメラであっても重ね合わせでき、遠隔操作ロボットなどアプリケーションはいろいろ考えられそうである。

  また、仮想現実感用3Dビューアは、実像と仮想の違いがよくわかるため、もう少し精度が向上すればシミュレーションの結果などを表示する方法として説得力があるシステムになると思う。



12.プロジェクト評価


 本テーマでは, 将来の組込みシステムで重要となると思われる位置情報システムの開発をおこなっている. 本テーマでは特にGISシステムとの統合を前提としており, 現状のGISシステムを大きく改善する可能性があると思われる. 本テーマの開発者は, 長年GIS開発に携わっており, 彼らのノウハウを組み込みシステムに応用することは大変意義があることであると思われる. また, GISの開発者が組み込み業界の関係者とコミュニケーションすることにより新しいビジネスが発掘できる可能性もある.

  開発者は実世界のビデオ情報に地図の情報をスーパーインポーズすることによりビデオ中の建築物が何であるかを容易に理解させるソフトウエアを開発した。実際に製品として利用可能とするためにはまだ時間がかかりそうであるが、潜在的な可能性は高いと思われる。



13.今後の課題


 本プロジェクトが複合現実感をテーマとしており、実空間と仮想空間の重ね合わせにフォーカスしていたため、コンテンツについてはあまり検討が進まなかった。任意のCADファイルを読み込んで、仮想空間の地図と重ね合わせることができれば、存在しない建物を表示することができ、さらに応用範囲が広がると思う。

  また、コンテンツを、3Dビューアに読み込むことについては、現在はファイルで読み込んでいるだけだが、Webサービスから取り出せるようにすると、刻一刻と変化する情報を受信・表示することも可能になりそうである。

  アプリケーションはいろいろ予想できるが、実際に活用できるようにするには、問題領域別の作りこみも必要で、それらは今後の課題になる。


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