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2004年度第1回未踏ソフトウェア創造事業  採択案件評価書


 



1.担当PM


 加藤 和彦 (筑波大学 電子・情報工学系 教授)



2.採択者氏名


 代表者

井上 誠一郎(アリエル・ネットワーク株式会社 CTO)

共同開発者

須崎 雅道(アリエル・ネットワーク株式会社)
塚元 貴士(アリエル・ネットワーク株式会社)



3.プロジェクト管理組織


 アリエル・ネットワーク株式会社



4.委託金支払額


 8,293,316円



5.テーマ名


 P2Pとsubversion連携による開発支援システムの開発



6.関連Webサイト


 http://dev.ariel-networks.com



7.テーマ概要


 複数の開発者が協調してソフトウェア開発を行うことを可能とするためのソフトウェア開発支援システムを開発する.中央サーバーを置かずに,ユーザサイト間で情報交換するP2P技術と,ソースコード管理システムsubversionを統合するアプローチのもとで開発を行う.



8.採択理由


 オリジナルのP2Pフレームワークに基づいたグループウェア製品を既に開発しており,十分な実績を有する.実際のソフトウェア開発の経験に基づいた提案であり,新規性と有用性が十分にある提案であると判断した.



9.開発目標


 ソースコード管理システムのsubversionとP2P基盤を組み合わせ,さらにクライアント側のユーザインタフェースを統合する.クライアント間のP2P接続空間において,ファイル交換とリアルタイムのメッセージ交換を行う.サーバを介さないファイル交換により,サーバを用意する必要がなくなり,コミット前のコードレビューが可能となる.リアルタイムメッセージ交換は,ユーザプレゼンスやコミット等の各種イベントの通知機能を提供する.




10.進捗概要


 下記の開発を行った.

 ・セキュアなP2P基盤技術
  データ暗号化。データ署名。通信セッション暗号化。PKIベースのユーザ認証
 ・効率的なP2Pファイル交換
  ネットワークモデルの工夫
 ・P2Pファイル共有空間での履歴管理
  衝突をなるべく回避する履歴とマージのモデル
 ・subversionクライアントと統合されたUI
  Windows、GNU/Linuxのマルチプラットフォーム対応



11.成果


 ・ネットワークとデータモデルの両方に改善を行い、P2P上で効率的なデータ交換および履歴管理を行う仕組みの実装を行った.

 ・P2Pスケーラビリティ強化のために,P2P空間をレイヤ化するQRPを実装した.

 ・セキュアドP2Pネットワークとして,通信セッションの暗号化を実装した。

 ・P2P履歴管理システムとして,データモデルと履歴モデルを工夫することでP2P上での履歴管理を実装した。

 ・ クライアント・アプリケーション(AirFolder)は,以下の機能を有する.
  ・ダウンロードの状態(ダウンロード元ホスト、速度)の表示
  ・ ローカルのファイルシステムのファイル変更を自動で検出(Windowsのみ)。
  ・ ドラッグ&ドロップまたはコピー&ペーストで、ファイルを共有空間にコピー可能。

 ・ リアルタイムメッセージング、ユーザプレゼンス機能を実装した.



12.プロジェクト評価


 従来はサーバー型システムとして利用されることが常だったバージョン管理システムを,P2Pシステムとして利用可能とした成果は興味深い.限られた開発期間ながら,当初の目的を達成するソフトウェア開発を行っており,その点は評価できる.



13.今後の課題


 複数開発者によるソフトウェア開発支援は,現在はサーバー型システムの構成をとることが一般的であるが,P2P型システム構成によってメリットを享受できる場合があることを示すことは今後の課題である.今回の開発によって,ある程度の実用に耐えるレベルのソフトウェア開発が行えているようであるが,さらに完成度を高め,広範のユーザによって試用され,有効性が検証されていくことを期待したい.



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