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2004年度第1回未踏ソフトウェア創造事業  採択案件評価書


 



1.担当PM


 伊知地 宏 (ラムダ数学教育研究所 代表)



2.採択者氏名


 代表者

中原 淳(情報科学芸術大学院大学(IAMAS)メディア表現研究科)

共同開発者

なし



3.プロジェクト管理組織


 日本エンジェルズ・インベストメント株式会社



4.委託金支払額


 6,500,000円



5.テーマ名


 -動き出す実物大グラビアアイドル- Image Based Robot



6.関連Webサイト


 http://www.iamas.ac.jp/~mil02



7.テーマ概要


 本プロジェクトは,実世界で動作する動画で表現されたロボット (Image Based Robot 以下ではIBR と呼ぶ.) を開発するものである.このようなIBR を実現するためには,投影環境・ユーザ行動に適応して,投影時に動画を補正する必要がある.このために,IBR に特化した動画投影の補正・ハードウェア制御のための基盤ソフトウェアIBR-Engine を開発し,その有効性を舞台劇のような芸術的作品を作成することで確認する.
 当初の計画ではセンサも設置して,人の動きに反応して画像が動くものであったが,ハードウェアの手配が出来なかったためにこのようなインタラクティブな機能の実現はあきらめた.



8.採択理由


 テーマ名を見るとこれは何なのだろうと一瞬思ったが,人間の実映像を用いたインタラクティブシステムである.壁の前にいる人の動きにあわせて,可動ビデオプロジェクタで投影された人の映像が反応するというものである.あたかもそこに本当に人がいるかのように,壁にゆがむことなく自然な形で人を映し,そして人の動きを読み取って投影された人の映像を自然な形で反応させるという,いくつもの難しい技術をクリアする必要がある.機能的にはエージェント物理ロボットよりも人間に親和性のあるものを作るのが目標であるが,PMはインタラクティブな芸術,たとえば舞台や映画などへの応用が十分に考えられるものであると考える.開発者も提案書には世間でいうまじめでつまらない応用例を書いているが,本音ではインタラクティブな芸術を対象とするシステムまで完成させようと思っているようでこの点も評価できる.言葉では説明がなかなか難しい提案内容の奇抜な面白さと,完成したときの影響力の大きさを評価して採択と判断する.短い開発期間でどこまで完成するかわからないが,開発者は企業でのプログラマーとしての経験もあり,現在では芸術系大学の大学院に学生として在籍しており,その経験を活かして是非とも芸術をサポートするシステムとしてまとめ上げてもらいたいものである.ハードウェアをソフトウェア開発に必要な最小限のものだけにして,予算額を大幅に削った



9.開発目標


 壁に映された人が全くゆがみなく,人などの動きに従って本当の人間ようになめらかに動作するように,補正や制御,センサの技術を開発することが目標であった.
 しかし,上述のようにセンサの手配が出来なかったために,壁に映された人が全くゆがみなく,本当の人間ようになめらかに動作するように,補正や制御の技術を開発することに目標を変更し,その代わりに,もしセンサがあったらこんなことが出来るという芸術作品を作って,システムの可能性をしっかり検証するという課題を加えた.



10.進捗概要


 手に入れる予定の機材が手に入らないなど,本プロジェクトは開始段階からいくつものトラブルに見舞われ,かなりの開発の遅れが発生したので,途中で目標を変更して,画像の補正とハードウェアの制御だけを開発することにした.この状況でもプロジェクタの運台の制御などに苦労をし,再計画後も若干遅れ気味で開発が進んでいき,成果の検証についてはあまりまともに時間が取れなかった.




11.成果


 画像の補正やプロジェクタを載せた運台の制御などの機能をちゃんと実装でき,下記のような状況でも画像をゆがませずに,人の画像を滑らかに移動させることが出来るようになった.

 

 

 レンダリングモジュールでは,複数の動画を合成してIBRを表示する.この際,大きさ調整・ゆがみ補正など,投影動画の補正を実時間で行う.大きさ調整・ゆがみ補正については,通路や大きい部屋などの平坦な壁面を想定して,簡単な座標の変換を用いる.この座標系は,キャリブレーションモジュールを使ってIBR設置空間を計測することでしている.またレンダリングモジュールは,中間状態の動画とクロスフェーディングを用いて,各ビヘイビアの動画を滑らかにつなぐ処理を行う.
 プロジェクタ台制御モジュールは,電動雲台ハードウェア制御を行う.プロジェクタ台制御モジュールは,IBRのビヘイビアに連動してビデオプロジェクタを回転させる.この回転によって,「移動」ビヘイビアの状態にあるIBRが実世界の壁面を移動するといった実世界での行動を実現する.
 実際に,次ページの絵にあるように壁に映った映像にゆがみはない.なお,白っぽい人間が映し出された人の画像である.

 




12.プロジェクト評価


 予定していた機材が手に入らなかったことは,本プロジェクトに対して大きな影響を与えた.ただ映像を写すだけのプロジェクトになってしまったからである.将来の可能性を示す作品についても時間不足でPMが満足できるものが出来なかった.

 ・未踏性: B+
  映像を滑らかに写すというだけでは,ロボットの機能が低くてあまり未踏性は高くないと言える.
 ・先進性: A-
  映像をゆがませずに滑らかに移動させるという技術に関してはある程度の先進性がある.
 ・実用性: B
  これだけで何が作れるのかということを考えると,現状ではこれといった有効な応用が見つからない.開発者からもこれはと思うような例が示されなかった.
 ・社会への影響: B-
  現状の範囲では普通のロボットの方がはるかに有効であり,社会への影響力は低い.
 (A: 高い,B: 並,C: 低い)



13.今後の課題


 現状ではちょっと技術を開発しただけであり,このままでは将来性も実用性も弱いといえる.まずは開発の方向性を明確にすることが必要であろう.そのために,アプリケーションを明確にして,何が求められるのかを明らかすべきである.



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