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2004年度第1回未踏ソフトウェア創造事業  採択案件評価書


 



1.担当PM


 伊知地 宏 (ラムダ数学教育研究所 代表)



2.採択者氏名


 代表者

大谷 淳平(株式会社アントラッド)

共同開発者

大谷 花子(フリーランス)



3.プロジェクト管理組織


 株式会社アントラッド



4.委託金支払額


 6,000,000円



5.テーマ名


 Lamp:教育的かつ実用性のあるゲームミドルウェア



6.関連Webサイト


 http://lamp.sourceforge.jp/



7.テーマ概要


 本プロジェクトは,3Dゲームの開発者を目指す初心者に,ゲーム作りの基礎を学ばせるためのミドルウェア Lamp の開発と,それを用いた3Dソフトウェア開発を学習するための教科書を開発・執筆することを行うことが目標である.教科書はマニュアル的な記述になっているため,すぐに教育に供することは出来ないが一応完成し,ソフトウェアに関しては順調に開発が進み,Lamp を使ったゲームの開発例も示された.



8.採択理由


 昨年度の「教育的かつ実用性のある3Dグラフィックスミドルウェアの開発」の継続である.昨年度には,過去のゲーム機においても問題なく動く非常に高速な3Dグラフィックスミドルウェアを処理速度に病的なほどにこだわって開発し,プログラミング能力が非常に高いことを示した.しかし,昨年度開発されたものでは,ゲームを作るには機能的に不足しており,さらに進んだ開発が行われることを望んでいた.今年度はゲーム用ミドルウェアを完成させる提案があったが,開発時間と開発費用の問題から期間中にゲーム実機への実装までを済ますことは不可能であったので,提案の中の一部であるゲーム開発初心者をターゲットにした教育的効果の大きいゲーム用ミドルウェアの開発に関してのみ採択する.すでに未踏性はあまり高くはないが,昨年度開発したものでもネット上でかなり評判になっており,今年度の開発成果はゲーム業界,ゲーム開発に興味を持つ学生に対する影響力が極めて大きいと考えられる.この社会への影響力の大きさが採択の一番の理由である.また,ソフトウェアの開発に加えて,初心者のためにこのミドルウェアを使った教科書を書き下ろすことを採択の条件とする.



9.開発目標


 (1) Lampを利用して実際に3Dゲームが開発可能
   3Dゲームの開発を出来るための必要な機能を作成する.
   ・ 昨年度開発した3Dグラフィックスライブラリの拡張
   ・ 2Dグラフィックスライブラリ
   ・ 入力ライブラリ
   ・ サウンドライブラリ
   ・ コリジョンライブラリ

 (2) 可読性の高いソースコードを公開
  教育のためには,ソースコードが公開されていて,高い可読性を持つソースコードが必要である.

 (3) 教育的なコンテンツパイプラインを整備
  前年度に開発した Lamp のコンテンツパイプラインは高価な商用ソフトウェアに依存していた.Lampをより気軽に教育現場に導入するためには,より安価なコンテンツパイプラインを構築する必要がある.

 (4) 教科書の作成
  ゲーム開発について独自に学ぶためには教科書が必要である.



10.進捗概要

 ソフトウェアの開発はほぼ計画通り順調に,かつ質の高い仕事が行われた.プログラマとしての能力の高さは昨年度に実証済みなので驚きはしなかったが,初めてだったらやはり驚くべき開発の早さであろう.
 また教科書に関しては開始時点で少し遅延が発生したものの最終的には期限に間に合った.しかし,教科書執筆において,PMやPMアルバイトとして雇った副田さんの活躍の場も多いものとなった.
 



11.成果


 (1) Lampを利用して実際に3Dゲームが開発可能
  当初計画していたミドルウェアの機能は全て実装され,サンプルとなる Lamp を使ったゲームソフトも開発されて,Lamp がゲーム開発に対して有効であることが示された.
  以下は Lampを使って作られたゲーム PrismaticUmbrella のスナップショットである.

 



 (2) 可読性の高いソースコードを公開
  複雑なコーディングによる最適化を行わない.C++の難解な機能を利用しない.外部ライブラリを極力使用しない等の工夫を行っており,読み易いとの評価をユーザから得ている.

 (3) 教育的なコンテンツパイプラインを整備
  より安価なコンテンツパイプラインを構築するためXファイルコンバータを開発した.これによりフリーの3DCGソフトウェアで作成した3DモデルをLampで扱えるようになり,高価な商用ソフトウェアが無くともLampを教育に用いる事ができるようになった.

 (4) 教科書の作成
  Lampの多岐に渡る機能を一通り説明した教科書が作成された.しかし現時点では教科書でなくマニュアルに近い文面になっており,指導者がいない状態で初級者が教科書のみを利用して Lamp を学習することは難しい状態である.




12.プロジェクト評価


 質の高い成果を短期間のうちに上げており,非常に高いソフトウェア設計能力,プログラミング能力があることが2年続けて証明された.教科書執筆に関しては少し苦しんだものの,初めての経験としては標準的以上の質のものが出来上がったので,こちらに関しても並以上の能力があるものと思われる.

 ・未踏性: A
  教育的な配慮を施した3Dゲーム用ミドルウェアとそれを使った教科書の組み合わせはおそらく未踏なものであると思う.
 ・先進性: A
  ゲーム機を意識した先進的なプログラムが開発された.
 ・実用性: A
  実際にゲームが作れることも示されて実用性は十分にある.ある出版社から教科書を出版する話も進んでいる.
 ・社会への影響: A
  このソフトウェアで3Dグラフィックスを学ぶゲームプログラマによって,日本をもう一度ゲーム大国・輸出国にする可能性を持っている.
 (A: 高い,B: 並,C: 低い)

 スーパークリエータと認定する.



13.今後の課題

 
 教科書をゲーム開発初心者が読んでも十分に理解できるようにすることが求められる.
 


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