
2004年度第1回未踏ソフトウェア創造事業 成果評価報告書(プロジェクト全体について)

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プロジェクトマネジャー: 石田 亨 (京都大学大学院 情報学研究科 教授)
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1.プロジェクト全体の概要

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今日ほど人々の情報共有とコラボレーションが求められているときはない.
本プロジェクトでは, インターネットを用いた情報共有とコラボレーション支援のためのソフトウェアを求めた. 組織内, 組織間, コミュニティ内,
国内, 地球規模を問わない. 技術的には, マルチエージェント, セマンティックWeb, 仮想空間, 参加型デザイン, 参加型シミュレーションなどを歓迎した.
採択テーマは以下の2タイプである.
タイプ1 情報共有とコラボレーション支援のためのツール
多数の人々, 多様な組織, 大量の情報を扱い, 異なる組織, 異なる文化, 異なる言語など, さまざまなバリアを超える, 情報共有とコラボレーションのためのツールを求めた.
オープンソース開発環境, 知識の共同オーサリング, P2Pファイル共有, ナレッジマネージメント, オンラインプロジェクト, オンラインコミュニティ,
バーチャルカンパニー, バーチャルラボラトリなどの実現に寄与するソフトウェアである. 社会的実証を伴うテーマ(例えば, 青空文庫,
CiteSeer, Wayback Machine, デジタルシティ, 異文化コラボレーション実験のようなシステム)も歓迎した.
タイプ2 情報共有とコラボレーション支援のためのコア技術ライブラリ
セマンティックWeb, エージェント, シミュレーション, ゲーミングなど, 情報共有とコラボレーション支援のためのソフトウェア開発に寄与するコア技術ライブラリを求めた.
高機能, 高性能なライブラリを歓迎した. 特許性のあるソフト開発も支援することを明記した.
審査にあたっては, 以下の点を重視した.
・ アイデアのインパクト(新規性・事業化の可能性・社会的意義)
・ ソフトウェアの企画・立案能力や開発能力
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2.プロジェクト採択時の評価(全体)

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応募総数は36件であった.
書類審査により12件に絞り, その後, 東京で6件, 京都で6件のインタビューを行った. 審査過程では, アドバイザとして中小路久美代氏(東大),
橋本大也氏(データセクション), 中西英之氏(京大)のご意見を伺った. 採択されたテーマは以下の3件である.
1. 異文化コミュニケーションのための知識共有システムの構築(吉野孝)
2. 世界規模ソースコード検索エンジンの開発 (高林哲)
3. セマンティックWebによる自然言語からのプログラム自動生成エージェント(中山浩太郎)
上記のテーマは全て, 情報共有のためのソフトウェア(2,3), あるいはコラボレーション支援のためのソフトウェア(1)である.
また, 世界規模ソースコード検索エンジンは社会的実証に発展しうるテーマと考えた.
なお, 36件のうち, 何件を採択すべきかの判断が難しかった. 審査が, 春, 秋の2回に分かれた最初であったため, 過去のデータがなかった.
そこで, 本格的な審査を後半で実施するために, 採択率は昨年同様に, 10%程度に絞ることとした. 採択予定の候補の中に, 他PMに採択されたプロジェクトもあり,
最終的に採択率は9%を割る結果となった.
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3.プロジェクト終了時の評価

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6月下旬の1泊2日の合宿,
11月上旬に公開の中間発表会(長尾PMと合同で実施した), 11月中旬の5泊6日の中国研修, 2月下旬の公開の最終報告会(長尾PMと合同で実施した),
その他, 各チームそれぞれ2回の個別のヒアリングを実施した. アドバイザの3氏にも機会あるごとに議論に参加して頂いた.
6月下旬に行った合宿は参加者の知識と経験の交流を狙った. 3プロジェクトであったこと, 代表者のみの参加であったため, アットホームながら知識の交流としては十分ではないという印象を受けた.
中間報告会を長尾PMと共同で実施することを決めたのもそのためである. 中間報告会は京都で実施した. 外部からの参加もあり, 白熱した議論となったのは良かったと思う.
中国研修では, 清華大学で日中未踏ソフトウェアシンポジウムを開催した. 高林氏, 吉野氏の2名と, アドバイザの中西氏が講演を行った.
以下にプログラムを示す.
China-Japan Symposium on Exploratory Software
November 19th, 2004, 2:00pm-6:00pm
FIT 1-312 Meeting Room, Tsinghua University, Beijing, China
Sponsored by Tsinghua University, China
Supported by IPA: Information-technology Promotion Agency, Japan
General Chair: Prof Yuanchun Shi, Tsinghua University
Program Co-Chairs: Degan Zhang, Tsinghua University, Toru Ishida,
Kyoto University
2:00-2:10
Opening
Prof. Yuanchun Shi, Tsinghua University
2:10-2:35 Keynote Speech: Autonomic Semantic Grid
Prof. Zhongzhi Shi, Chinese Academy of Sciences
2:35-3:00 World-Wide Source Code Search Engine
Satoru Takabayashi, Ph.D., National Institute of Advanced Industrial
Science and Technology, Japan
3:00-3:25 Knowledge Sharing System for Intercultural Communication
Takashi Yoshino, Associate Professor, Ph.D., Wakayama University,
Japan
3:40-4:05 3D Virtual Space for Revealing Social Interaction
Hideyuki Nakanishi, Assistant Professor, Department of Social
Informatics, Kyoto University, Japan
4:05-4:30 Task-Driven Computing for Pervasive Computing
Enyi Chen, Ph.D, Tsinghua University
4:30-4:55 A Manager of Seamless Mobile Service for Universal Access
Degan Zhang, Ph.D, Tsinghua University
4:55-5:05 Closing
Toru Ishida, Department of Social Informatics, Kyoto University
5:15-6:00 Demos of Smart Classroom at Tsinghua University
さらに, 北京で活動している日本企業(NEC, 松下)の研究所を訪問した. マイクロソフトの北京研究所は高林氏の講演に難色を示した(オープンソース戦略が会社の方針と競合したようである)ため,
有志の訪問に切り替えた. 高林氏, 吉野氏の講演は, 各企業の研究員の興味を惹いたようである. この研修にはアドバイザとして,
中西氏と橋本氏も参加した. 参加者にとって, 開発の区切りになると共に, 勃興する中国のソフトウェア産業を知る上で大いに役立った研修だった.
最終報告会は2月26日に東京で行った. 高林氏, 吉野氏の発表は内容も充実しており, 未踏ソフトウェアらしい興味深い発表で,
共にスーパークリエータの認定を行った. 一方, 中山氏の発表は, ソフト開発が終了しておらず, かつ, 構想を実現する開発の目途が立っていないという印象を受けた.
結果として, プロジェクトの成果に大きな差が出てしまった. 担当者の経験の差もあるのだろう. PMとして, もう少し手が打てたのではないかと反省している.
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