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2004年度第1回未踏ソフトウェア創造事業  採択案件評価書


 



1.担当PM

 中島 秀之 (公立はこだて未来大学 学長)



2.採択者氏名


 代表者

田川 欣哉(有限会社リーディング・エッジ・デザイン)

共同開発者

なし



3.プロジェクト管理組織


 有限会社リーディング・エッジ・デザイン



4.委託金支払額


 9,332,081円



5.テーマ名


 画像処理を用いたプレゼン支援インタフェース「Afterglow」の開発



6.関連Webサイト


 



7.テーマ概要


 学会発表や講義などで最近はコンピュータソフトと液晶プロジェクタの組み合わせによるプレゼンテーションが普通となっている。この方式は、写真や動画などが使いやすい反面、黒板やOHP シートなどに書く方式に比べ即興性に劣る。
  また、発表者がパソコンの前に釘付けにされるのも、移動の自由が制限され、あまり望ましいものではない。
 

  これら二つの問題点を解決するために、レーザーポインタの光点とその軌跡を使うプレゼンテーションツールを開発する。つまりレーザーポインタでページ送りなどの操作や表示されている画面への書き込みなどを実現しようというものである。



8.採択理由


 プロジェクタによるプレゼンテーションにおいて,レーザポインタを使ってシステムに様々な指示を与えられるようにする提案である.完成すれば是非使いたいシステムである.できれば,単なるポインタや指示機能だけでなく,より面白いインタラクションの造り込みを期待している.今回は光を利用した提案を2件採用する.また描画に関する提案もある.それらとの連携も期待する.



9.開発目標


 コンピュータから液晶プロジェクタに出力する方式の現行のプレゼンテーションツールにおける、発表者の位置の制限ならびに書き込みの不自由さという二つの問題点を解決するために、レーザーポインタの光点とその軌跡を使うプレゼンテーションツールを開発する。レーザーポインタの光点をカメラで捉えることにより、ポインタで様々な指示を与えることが可能となる。具体的にはポインタをマウスにみたて、ポイント位置を保持することによる指定/選択(マウスのクリックに相当)とポインタの軌跡による描画である。

 

 「画像認識ユニット」「ジェスチャー解析ユニット」「画面描画ユニット」から構成されるソフトウェアを開発し、

 

 (1) 様々な場所で使用できること
 (2) 市販のレーザーポインターやカメラなどに対応することで低コストのシステムを実現すること
 (3)使いやすいユーザーインタフェースを構築すること等を目指す。




10.進捗概要


 プロジェクトは予想を若干上回る進捗を見せた。

 

 最初に関連研究の調査が行われた。指示棒をカメラで捉えてマウスのように使うシステムや、白板に直接書いているペンの位置を測定してオンライン情報として取り込むシステムなどがあるが、いずれも発表者の立つ位置は制約される。
 一方本システムでは、レーザーポインタの光が画面に届く範囲であれば発表者は自由に動き回れる。

 

 プレゼンテーション画面からレーサポインタの軌跡だけを確実に取り込むために様々な実験と工夫が行われ、カメラのシャッター速度の調整などが行われた。
 また、カメラの性能や処理速度の問題からポインタの軌跡が連続手には取り込めないが、それを補間する手法などが開発された。

 

 最終的には描画ペンを数種類持ったり、赤と青のレーザーポインタの二種類でインタラクションができるシステムが完成した。開発者の最終成果発表もこのシステムを用いて行われた。




11.成果


 「Aftergrow」と呼ばれる、パワーポイントのようなプレゼンテーションツールを拡張するソフトが開発された。このシステムの最大の特徴はレーザポインタによる指示であるが、そのためにレーザポインタの位置を小型カメラで取得するための手法が開発された。プロジェクタの投影像のゆがみの自動補正や、シャッター速度などのノウハウが蓄積されている。また描画に関しても、手持ちのレーザポインタの軌跡はぶれるし、カメラでは間歇的にしか位置が取得できないため、それを補間し自然な形で平滑化する手法が開発された。



12.プロジェクト評価


 是非自分でも使ってみたいシステムができた。斬新なアイデアを様々な問題を解決しながら実装し、完成度の高いシステムに纏め上げた。アイデアは単純だが、カメラによるポインタの位置識別などの細かい技術要素に工夫が見られ、それによって完成度の高いシステムとなっている。

  ただ、レーザポインタを用いた描画については、非点灯時の位置がわからないため、開始位置の決定が困難で慣れを要する。描画機能をまじめに使うつもりであれば工夫が必要であろう。しかし、画面中の文字を囲ったり、下線を付けたりする程度であればそれほど問題はないようである。

 いずれにせよ、開発されたシステムは将来のプレゼンテーション用プロジェクタの設計に影響を与える可能性がある程のインパクトを持つものとしても高く評価できる。



13.今後の課題


 完成度が高く、特に課題は残っていないが、敢えて言うなら2-1 の「使いやすさを極めたアニメーション用ドローソフト」との合体により描画機能を高めるとより良いシステムとなろう。

 

 なお、今後の発展としては以下のような普及が期待される。

 

 1. 液晶プロジェクタにカメラ組み込みの製品を作り、本システムを組み込むことにより、発表者がカメラやシステムを持参しなくてもよいようにする。プレゼンテーションコンテンツもUSB メモリなどでプロジェクタに直付けできるようにしておけば、パソコンの持参すら不要となる。

 

 2. 更に進めて(将来の話になるが)レーザポインタとプレゼンテーションツールを一体化した製品の開発。プロジェクタとは無線LAN などで接続する。



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