
2004年度第1回未踏ソフトウェア創造事業 天才プログラマー/スーパークリエータ


2004年度第1回未踏ソフトウェア創造事業では、下記15名の開発者(敬称略)が優れた開発成果を残し、担当プロジェクト・マネージャー(PM)から「天才プログラマー/スーパークリエータ」との評価を得ました。
(注)開発者の所属は事業実施時点の所属です。

(1)王 化 (University
of Tokyo Information Science & Technology)

 
(2)吉野 孝 (和歌山大学 システム工学部 助教授)

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テーマ名

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異文化コミュニケーションのための知識共有システムの構築

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石田 亨PM
の評価コメント

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吉野氏のソフトウェアデザイン能力および開発能力は,特にGUIの操作を中心したソフトウェアおよびネットワーク対応のソフトウェアの開発において顕著である.従来のソフトウェアは,テキストなどの表示を中心としたシステムが多いが,より自由度の高い画面上で多種の操作に対応した機能を実現している.
開発されたコードは膨大で, さまざまなサービスが提供され, 統合され, 稼動しているのが素晴らしい. サービスは, チャット,
絵文字, 発想支援ツール, コンテンツ組織化ツール, ビデオ会議システム, プレゼンテーションシステム, 機械翻訳サービスなど,
多岐に渡る. さらにそれらの機能をネットワークに対応したリアルタイム系のソフトウェアとしている点も高く評価できる.

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開発成果評価書

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PMによる開発成果の評価
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(3)高林 哲 (独立行政法人産業技術総合研究所 研究員)

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テーマ名

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世界規模ソースコード検索エンジンの開発

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石田 亨PM
の評価コメント

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ソースコード検索エンジンは「昔からありそうなのに,
今までなぜか存在しなかった」という類いのソフトウェアである. このようなテーマを選んだ時点で, 既に, 高林氏の着想力と実現力が現れている.
ソースコード検索エンジンのユーザであるソフトウェア開発者の視点から, 必要な機能と特性が検討され, ソフトウェアの設計が行われている.
また, 必要な機能を満たすだけでなく, 使いやすさを意識してきめ細かい配慮を払っている点が評価できる.
思い描いた構想を実際のシステムに落とし込むところがソフトウェア開発の腕の見せどころである. 高林氏は, 当初から実用性に重点を置き,
短期にオープンソース化し, 更改を繰り返し, 開発者グループを徐々に形成していくなど, その手腕と技術力には卓越したものがある.

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開発成果評価書

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PMによる開発成果の評価
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(4)大谷 淳平 (株式会社アントラッド)


(5)新谷 虎松 (名古屋工業大学大学院 工学研究科 教授)


(6)伊藤 孝行 (名古屋工業大学大学院 工学研究科 助教授)


(7)住井 英二郎 (University
of Pennsylvania Department of Computer and Information Science, Research
Associate )

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テーマ名

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美しい日本のMLコンパイラ

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加藤 和彦PM
の評価コメント

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住井氏は,三点の目標を掲げて開発を行った.第一に実装が簡潔であること(約2000行),第二に性能のよいコードの生成を行うこと(OCamlやGCCと同等以上),第三に自明でないアプリケーション(例えばレイトレーシング)の実行が可能であることである.これら三点を同時に達成することは容易でないが,その達成に成功した.実行性能としては,典型的な関数型プログラムであるアッカーマン関数を0.9秒(比較:GCC
6.8秒,OCaml 0.9秒),典型的な命令型プログラムであるレイトレーシングを17.0秒 (比較: GCC 14.7秒,OCaml
36.7秒)を達成した.
今回の開発はML言語を対象としているが,他の言語を含めて,世界的にもほとんど例のない類のソフトウェア開発である.コード数を多くせず,高い読解性を維持しながら,高い性能を達成するために,注意深い設計と実現が行われている.コンパイラの教育・研究に資すること大という意味で,実用的ソフトウェアの開発と解することも出来よう.
以上のことから同氏は,当PMがスーパクリエータの要件とする,未踏的,かつ,実用的なソフトウェア
の開発を行ったと言うことができる.

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開発成果評価書

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PMによる開発成果の評価
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(8)近藤 秀和 (Lunascape株式会社 代表取締役)


(9)奥村 貴史 (旭川医科大学 医学部医学科 学生)


(10)本田 晋也 (名古屋大学 情報連携基盤センター 研究員)


(11)奥 一穂 (株式会社モビラス 代表取締役)


(12)坂本 竜基 (株式会社国際電気通信基礎技術研究所 知能ロボティクス研究所
研究員)


(13)寺岡 宏彰 (株式会社ワイヤーアクション 取締役副社長)

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テーマ名

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XM支援ツール Galapagos の開発

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長尾 確PM
の評価コメント

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開発者らが提唱するエクストリームミーティングと呼ばれるコンセプトは、効率的な会議のあり方をいくつかのプラクティスとしてシステム化したものである。その中で特に重要なプラクティスに「議事録をあるフォーマットに従って完成させることを会議の終了であると見なして会議を進行させる」ことがある。開発者らがこのコンセプトに基づいて実現した議事録の作成・管理による会議支援システムは完成度が高く、既存の会議を一変させるだけの将来性や社会的インパクトがあると思われる。
また、開発者は、プロジェクトの初期段階で、別プロジェクトで多忙な代表者に代わりプロジェクト遂行において主要な役割を果たしていた。さらに、開発者が主に担当したサブシステムの一つである議事録管理用グループウェア、つまり、Web上で議事録の検索・閲覧・管理を行うソフトウェアの重要性はシステム全体において非常に大きい。このように画期的なアイディアを提案し、その実現を着実に行った点は高く評価でき、スーパークリエータとしての能力を十分に有すると考えられる。
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開発成果評価書

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PMによる開発成果の評価
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(14)田川 欣哉 (有限会社リーディング・エッジ・デザイン)


(15)朝倉 民枝 (グッド・グリーフ! 代表)

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「天才プログラマー/スーパークリエータ」については、IPAで「新規性(未踏性)」、「開発能力」、「将来の可能性」から基本認定基準を下記のように定義し、これを基本に各プロジェクトマネジャーに具体的な認定基準を独自の観点から設定して評価いただいています。
未踏ソフトウェア創造事業に係る「天才プログラマー/スーパークリエータ」の定義について
| 基準項目 |
基本認定基準(注) |
スーパークリエータが生み出す世界 |
| 新規性(未踏性) |
アイディア、発想力、独創力 |
学会で発表され学問的な認知がある。 |
国際学会発表回数
論文・学会誌掲載回数 |
| 開 発 能 力 |
創造力、企画・設計能力が高く、
プログラムコーディングが早い。 |
ソフトウェアのデザイン能力が高い。
設計したデザインを短期間にプログラム
する能力を持つ。 |
開発ソフトの処理・レスポンス速度が高い |
| 将来の可能性 |
末恐ろしさを秘めている。 |
開発ソフトの有用性が高い。
市場ニーズが高い(使える)ソフトである。 |
事業化、商品化件数、
オープンソフト(ダウンロード数) |
(注)スーパークリエータの認定は、少なくとも基本認定基準のいずれか1つ該当している場合とする。
各プロジェクト・マネージャー(PM)における「天才プログラマー/スーパークリエータ」認定の「評価基準」を以下に公開します。
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1.Alan Kay PMの評価基準

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Projects were evaluated via a number of criteria and from
the start of the application process.
1. Overall merit of the initial proposals;
2. Progress
reports were submitted periodically to PM for review and comment.
Partial evaluation of overall project comes from reading and discussion/email
based on progress reports;
3. Face to face meetings and presentations; at two times the grant
recipients gathered in Kyoto for presentation of their project.
PM made evaluation of projects based on the presentation, presentation
materials from both the interim and final face to face presentations;
4. Written materials presented as final report. Each grant recipient
submitted papers and online materials for review and dissemination.
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2.石田 亨PMの評価基準

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プロジェクト採択基準は以下のとおりである.
・ アイデアのインパクト(新規性・事業化の可能性・社会的意義)
・ ソフトウェアの企画・立案能力や開発能力
天才プログラマー/スーパークリエータとしては, 採択基準を満たすアイデアを持つ方々の中から, 特にソフトウェアの企画・立案能力や開発能力が顕著な方を認定したい.
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5.梅村 恭司PMの評価基準

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「天才プログラマー/スーパークリエータ」の条件は、作成された結果で判断する。すでに類似の機能をもつプログラムが存在していた場合は、その性能を1桁以上向上させたものとする。また、いままでに存在しない機能をもち、性能の比較ができないプログラムにおいては、プログラムを試しに使用するだけで、その新しさによって、ユーザを獲得していくような機能を提供するものとする。
既存の同じようなシステムがある場合は、その性能を一桁向上させた場合に天才と認定する。既存の同じ機能をもつシステムがない場合は、技術的な背景のないユーザにとっても、その優越性が明らかである場合に天才と認定する。
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7.坂村 健PMの評価基準

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本プロジェクトにおける「天才プログラマー/スーパークリエータ」に関する基準であるが、「スーパークリエーター」と「天才プログラマー」の基準は一致しない部分があると考えている。「クリエーター」はどちらかと言えば、アイデアや企画力に第一義的な価値が置かれるが、「プログラマー」はソフトウェアの技術力に第一義的な価値観があると考える。
本プロジェクトでは、産業界への貢献という観点から、「プログラマー」の資質と能力に長けた人材を育成する立場をとりたい。そこで、「天才プログラマー」とは以下の基準を満たす人材と定義する。
1. プログラミング言語の仕様やその処理系の実装、オペレーティングシステムやハードウェアのメカニズムを深く理解し、課題に応じて適切な技術を選択し、更にそれらの性能や機能を十二分に引き出すことのできる、プログラミングスキルを有していること。
2. ドキュメントやコードのコメント、周辺サポートツール、コードの移植性や保守性など、現実社会の中でプログラムが利用・保守されるために必要な努力が払われている、ある種、社会性のあるプログラミングを行う能力を有していること。
3. なによりもプログラミングにかける情熱を有していること。

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8.中島 達夫PMの評価基準

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作成したプログラムが実用面または研究面において大変優れていることを評価基準とする.
具体的には、実用面に関しては、プログラムが広く一般に使用されるためにどのような努力をおこなったか、または、ビジネスとして広くインパクトを与える可能性があるかを重要な基準とし、研究面に関しては開発した研究成果が著名な国際会議や論文誌で採録されたかを重要な基準とする。
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9.酒井 裕司PMの評価基準

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●アプリケーションとして有用なものを発見できる
●有用なアイディアを複雑性を最小化した実装として設計できる
●実現に必要な他者の力を組織化できる
●設計を、他にみられない質を持ったところまで作り込める
発想力、実装力、組織力、継続力において、優れており、実証された実績を持っていること。
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10.長尾 確PMの評価基準

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以下の基準に基づいて判断した。
1.実現したシステムの完成度(提案時の目標をどの程度達成しているか)
2.実現したシステムの有用性
3.実現したシステムの将来性と社会的インパクト
4.開発者のシステム全体における貢献度
5.開発者が代表者の場合、成果報告会におけるプレゼンテーションの説得力
6.開発者が代表者の場合、成果報告書のわかりやすさ
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11.中島 秀之PMの評価基準

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提案された概念が,これまでに他人が思いつかなかったようなユニークなものであり,またそのインパクトが大きいことを未踏性の最大要因とする.さらにそれを完成させ,実用レベルに近いところまで仕上げる能力が必要条件である. 以上2点を基準とする.
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12.原田 康徳PMの評価基準

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1)新しい領域を切り開いたこと.この開発を種として,今後様々なソフトウェアの誕生が予想されること.
2)ソフトウェアに対してきめ細かな態度で丁寧に取り組んでいること.
ソフトウェアの小さな一つ一つの質の向上は全体の印象に大きく影響する.これはそのソフトウェアに対する強い想いが無ければ遂行できないことである. 以上を基準とした.
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