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ベースとなるアルゴリズムの変更などがあったため,前期と項目的には同じだが,分離の品質が上がっている.
(1) 時系列静止画像からの速度別移動物体分離
例えば,入力画像 (川崎 図5) を速度別の移動物体部分 (川崎 図6〜7) と背景部分 (川崎 図8) とに自動分離して出力する.
川崎 図5 分離前のオリジナル画像
川崎 図6 移動物体部分を分離した画像
川崎 図7 速度別の移動物体部分を分離した画像
川崎 図8 入力画像を速度別の移動物体部分と背景部分に分離
プログラムは画像ファイル群と,分離の際の各種パラメータを入力として取り,図で示した例のような画像ファイル群を出力する
(2) 時系列静止画像からの時間短縮アニメーション作成
時系列静止画像から(1)を利用して移動物体を取り除き,画像列中の緩慢な変化だけを残した画像列をダイジェスト出力 (川崎 図9〜10)
する.川崎図9の中間の部分はx軸に並行なある線分上での時間変化を示したものである.よぎっていく人の歩行が斜めの黒線になって見えている.y軸に沿って歩くカップルが人の形になって見えるのが興味深い.
川崎 図9 緩慢な変化だけを残した画像を出力
川崎 図10 緩慢な変化だけを残した画像を出力
なお,これらの成果物は次のGUIインタフェースに取り込まれた形で実現されている.
(3) GUIによるインタフェース
時系列静止画像からの速度別移動物体分離に関して,ユーザが分離に関係するパラメータをGUIで自由に設定可能なインタフェースを提供しているる.
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これらの開発成果の特徴は,3次元時空間画像中に見られる強い時間的相関を利用して,ロバストな移動物体抽出を行い,さらに移動物体ごとの移動速度を算出する点である.
本システムが対象とするのは,撮影時の視点が固定された時系列画像である.このような画像群は,互いに関係のない画像群と異なり,いくつかの特徴をもっている.たとえば,ある瞬間の画像と次の瞬間の画像との違いがわずかでしかないのは特徴の一つである.また別の特徴として,十分短い撮影時間間隔の間には,移動物体は比較的単純な運動を行い,突然消滅したりまったく別の場所に移動したりはしないことが挙げられる.これらの特徴を利用すると移動物体を抽出したり,その移動方向を予測したりすることが可能となる.
物体の移動方向予測については,動画像の符号化で広く利用されているMPEGなどで,ある程度実用化されている.しかし,そこでは撮影視点が必ずしも固定ではないこと,移動物体の正確な抽出よりも動画像圧縮を目的としていることなどから,比較的簡便な方法が用いられることが多い.それに対して本システムでは,撮影時の視点が固定された時系列画像に的を絞って,分析することにより,移動物体をなるべく正確に抽出するというアプローチを採用している.
また,時間的に接近した画像間の変化が少ないことを利用して,移動物体を時間軸上で追跡することにより,移動物体の画面上での速度と移動方向を算出している.これにより,本システムを利用すれば画像群を与えるだけで,移動物体の抽出を比較的ロバストに行うことが可能となった.本システムは,さまざまな定点観測システムや監視システムへの組み込みに利用可能である.
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