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すでにかなりの完成度に達しており,地道な機能強化が続いたということなので,後期になって特別なことというのは特にない.むしろいろいろなパフォーマンスを通して,ユーザとの交信を深め,システムのリファインが進んだということが最大の眼目であろう.
当初の予定とは若干方向性の変化があり,ライブパフォーマンスよりは,音楽制作の道具としての色合いを濃くする機能追加を行なった.中でもオーディオファイルの書き出し
(AIFF形式,44.1KHz 16bit) の機能を追加したことは特筆される.これは他の一般的な音楽ソフトウェアでそのまま使用することができる.これによって,元となるオーディオファイルにSonaSphereでエフェクトをかけてファイルに吐き出し,それをシーケンサソフトなどにインポートして曲を構成するといった使い方が自由にできるようになった.
プログラミング機能として,オブジェクトの電荷,リンクのバネ係数,三次元空間の物理パラメータなどのほかに,ユーザのジェスチャを記録して,繰り返し再生する例示プログラミングの機能を付け加えた.ユーザのジェスチャを組みあせて使うことで時間軸に沿った大まかな制御が可能になった.また,パラメータの設定によって記録したジェスチャにどの程度厳密に従うかを設定できるため,ジェスチャと他のオブジェクトや物理空間の仮想的な力との相互作用によってより豊かな変化が生まれるようになった.
ビジュアルな効果を増す改良も行なった.たとえば,オブジェクトの軌跡を薄く表示することによってよりオブジェクトの動きにダイナミック感を与えた.また,仮想空間の壁にオブジェクトがぶつかった際の視覚効果として,衝突位置から波面が広がるようなグラフィックスを実装した.これによって,より豊かな視覚表現が可能になった.一方,OpenGLのディスプレイリスト機能を使うことで,ビジュアル表現の質を向上させつつパフォーマンスも同時に向上させることに成功した.徳井
図2と徳井 図1を比較するとよい.
徳井 図2 作成したシステムのスクリーンショット
メディア,たとえば米Electronic Musician誌から
"A live performance tool that offers one of the most interesting
musical 3-D-graphic interfaces."という評価をもらった.また,有名なアーティストUAの作品にこのシステムが使われることになった.
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