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平成15年度未踏ソフトウェア創造事業  採択案件評価書


 



1.担当PM


 徳田 英幸  (慶應義塾大学 政策・メディア研究科委員長 環境情報学部 教授 )



2.採択者氏名


 代表者

山田 育矢(慶應義塾大学 環境情報学部4年)

共同開発者

佐藤 大介(株式会社ニューロン)
荒木 英士(株式会社ニューロン)
須之内 雄司(株式会社ニューロン)



3.プロジェクト管理組織


 株式会社創夢社



4.委託金支払額


 8,960,000円



5.テーマ名


 ネットワークサービス管理・連携フレームワーク



6.関連Webサイト


 http://www.newrong.com/

 http://www.newrong.com/product/index.html

 http://www.xbox.jp/live/



7.プロジェクト概要


 本プロジェクトでは「P2P型ネットワークサービス管理・連携フレームワーク」の構築をめざし、NAT(*1) 越えライブラリの開発、既存のP2P型アプリケーションにNAT越えライブラリを適用させるためのドライバの開発、ユーザとP2P型サービス(アプリケーション)を統合的に管理できるフレームワークとインタフェースの開発を行った。これにより、ユーザはネットワーク環境に左右されずにどの端末にあるサービス(アプリケーション)に対しても直接参照し利用することが可能となった。

(*1)Network Address Translator:ルータ等に内蔵される、一つのグローバルIPを複数端末で共有するための機構



8.採択理由


これまでにJINI, UPnPなどのサービス連携メカニズムが提案されてきているが、サービスオブジェクトとサービスコネクタを利用してp2p型で連携させている点が期待できる。NAT/Firewallに対応した機器の認証機能なども評価できる。



9.開発目標


 本プロジェクトでは、P2P型ネットワークサービス管理・連携フレームを実現するために以下のような機構を開発する。
 ・ NATを越え全てのネットワーク環境でIPv6でのP2P通信を行うライブラリ
 ・ PCに付随する機能をサービスとして抽象化しユーザを頂点としたツリーで管理する機構
 ・ ユーザ、端末、サービスそれぞれのアベイラビリティ管理
 ・ 端末認証機構
 ・ サービス同士を接続・連携する際にその仲介となるコネクタ
 ・ サンプルアプリケーション




10.進捗概要


 前期末までに、NAT越え通信ライブラリの開発に注力し、実証実験を含めNAT越えアルゴリズムの精緻化を図った結果、ほぼ100%のルータ対応率を実現することに成功した。この技術は汎用的なDLLとしてライブラリ化され、株式会社ニューロンの製品「NAT Traversal SDK」としてリリースされている。付録に、そのWebページとXBOXとの性能比較表をあげる。また、ユーザを頂点とした端末・サービス管理機構を構築し、サンプルアプリケーションとしてNATを越えファイル共有が可能なソフトウェアを開発した。
 開発当初と比べ、プロトコルはSIP準拠にする予定であったが、市場動向等を考慮した結果IPv6(Teredoプロトコル)上で独自プロトコルを実装した。また、IM形式で端末やサービスリストを表示しランチャとする予定であったがUIとしての使いやすさや今後どのようなソフトウェアを開発していくかということを考慮した結果、必要ないと判断し個別ソフトウェアごとにUIを構築することとした。端末認証機構及びTLS等通信暗号化については開発スケジュールから見て実現が困難であると判断し、今回の実装から除外した。コネクタに関してはWindowsのフィルタドライバという形で実装し、ドライバレベルでプロトコルの書き換えを行うことでアプリケーションのプログラムを変更しないでこのフレームワークに対応させることができた。

 

付録.

  ニュウロン社の製品紹介ページ(http://www.newrong.com/product/index.html

 

ニュウロン社の製品紹介ページ画像

 

<Xboxとのパフォーマンス比較>
 XboxとはMicrosoft社が開発した家庭用ゲーム機である。このゲーム機の特徴は製品自体にネットワークインタフェースが組み込まれておりXbox Live!という追加キットを購入することでインターネットを経由してネットワーク通信型ゲームがプレイ可能である。特にP2P型通信でのゲームに力を入れておりゲーム機の中で唯一STUNを利用したNAT越え機能が搭載されている。Xboxのサポートサイト(http://www.xbox.jp/live/)においてもXboxのNAT越え機能に対応したルータ一覧が掲載され常にアップデートされている状況である。そこで今回のNAT越えモジュールのパフォーマンス比較対象としてこのXboxを選ぶこととした。
 テストの方法はインターネットを介した二つのルータ双方にXboxを接続し、ゲームを開始した。なお、ルータの設定は購入時のデフォルト設定とする。
 下記のリストが今回のNAT越えモジュール、Xboxそれぞれの接続確立結果である。

 

 

本 NAT ライブラリ

XBox Live!

メーカ名

製品名称

対応

対応

株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー

BA5000Pro

MN8500CB

株式会社メルコ

BLR3-TX4

アクトンテクノロジ株式会社

SMC7004ABR

アップルコンピュータ株式会社

AirMac Extream

株式会社ハイウエスト・ブレインネット

PBR007

Century Systems

XR-300

CR-100

京セラ株式会社

KY-BR-CB100

ICOM

SR-21BB

株式会社マイクロ総合研究所

MR-NWGOPT70

オムロン株式会社

MA800

×

MR104F

×

NECアクセステクニカ株式会社

BR1500H

IODATA

NP-BBRS

CentreCOM

AR230E

住友電工ネットワークス

TE4621C

エレコム株式会社

LD-BBR4M3

株式会社コレガ

BARSW-4P

ヤマハ株式会社

RTA55i

×※1

×

トレンドマイクロ株式会社

GateLockX2000

Creative

8100C

RedHat

RedHat Linux 9

 

    ○:他のすべてのルータと接続可能
    △:一部のルータと接続ができない
    ×:全てのケースで接続不可能
    ※1:ルータ設定のデフォルトでUDPを全く通さない設定になっている
  このように今回開発したNATモジュールは高い性能を保持していることが確認できた。



11.成果


 本プロジェクトで提案された「P2P型ネットワークサービス管理・連携フレームワーク」は、図1のような構成をもったサービス管理機構と図2で示されたサンプルアプリケーション群とユーザインタフェースによって実現された。また、開発された一部のソフトウェアが、「NAT Traversal SDK」として株式会社ニューロンの製品として完成することができた。

 

サービス管理機構図

 

図1: サービス管理機構

 

P2P型ネットワークサービス管理・連携システムの概観図

 

図2: P2P型ネットワークサービス管理・連携システムの概観

 




12.プロジェクト評価


 本プロジェクトは、株式会社ニューロンという学生ベンチャを行っている人たちが開発母体であり、他のプロジェクトと比較して、より製品化に注力している点がユニークといえる。従来検討した技術をより現状のP2P型ソフトウェアやネットワーク型ゲームソフトウェアマーケットにあった形で、IPv6上での実装を行った点は高く評価できる。また最終報告会でのデモも、しっかりでき、実現されたソフトウェアの完成度の高さを示せたといえる。唯一、提案書で提案したすべての開発項目のうち、端末認証機構が実現されなかった点は、やや残念である。



13.今後の課題


 本プロジェクトの場合、今後のP2P型ソフトウェアやネットワーク型ゲームソフトウェアマーケットにあった形での製品の改良ということが重要なテーマである。ファイル共有ソフトウェアに関しては、一応の動作が確認できているが、他のストリーミング型のアプリケーションに対しては、改良すべき項目が残っているといえる。「NAT Traversal SDK」といった製品だけでなく、開発したソフトウェアを基に、ネットワーク型ゲームソフトウェアやP2P型ソフトウェアのための開発用ミドルウェアとしてもパッケージ化を進めることが課題である。

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