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WideStudioは,このプロジェクトの応募者が中心となって開発した,FreeBSD,Linux,Solaris,Windows上で動作する,純国産のオープンソースデスクトップアプリケーション開発環境(IDE)である。WideStudio
で作成したアプリケーションは,OS依存のAPIを使用しない限り,リコンパイルするだけで他のプラットフォームへソース変更なしに対応させることができる。
このプロジェクトは,このWideStudioに組み込み開発環境の1つであるT-Engineに対応させるための機能を追加し,T-Engine
におけるデスクトップアプリケーションを開発するためのWideStudio (WideStudio for T-Engine) を開発することにある。これにより,既存プラットフォーム上のアプリケーションが,これから組み込み系で幅広く利用が期待されるT-Engine
の上で動作するようになる。
WideStudio for T-Engine では,既存プラットフォーム上のアプリケーションを T-Engine 用にビルド(クロスコンパイル)すること,または,T-Engine
上でビルドすることによって,T-Engine 用のアプリケーションの作成ができることを目的としている。既存プラットフォーム上のアプリケーションの流用や開発手順の共通化でT-Engine
対応アプリケーションの開発効率向上が期待される。
こうした複数の異なるプラットフォーム上で同一のプログラムを動作させる環境として,現在ではJavaなどの処理系の移植性が高いインタプリタ言語環境が普及しつつある。こうした方式の問題点は,高級言語のインタプリタや仮想マシンを必要とするため,実行時メモリなど計算機資源を多く利用することと,実行負荷が大きいことがあげられる。エンタープライズ型のサーバシステムや,高性能のMPUを搭載したハイエンドのパーソナルコンピュータであれば,こうした資源利用や付加は現在あまり問題にならなくなってきた。これが,Javaのような言語が普及した一因となっているわけである。一方,組み込みシステムの場合はそうはいえない。組み込みシステムは,サーバシステムやパーソナルコンピュータシステムに比べ,計算機資源の量やCPU性能において劣るものである。また,省電力の観点やコストの観点から,できるだけ実行負荷や利用資源が小さいことが強く要求されている。
このような考察から,WideStudioのような開発環境においてプラットフォームの違いを吸収し,ネイティブコードを生成する方式は,今後組み込みシステムにおいてこそ活躍するものである。従って,WideStudioがリアルタイム・組み込みシステム環境上で利用可能になることに期待している。

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