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IPAについて

プレス発表 「2013年度未踏IT人材発掘・育成事業」のスーパークリエータ9名を認定

~人間並みに柔軟な“質問応答システム”や置かれた状況を踏まえた変換候補を表示する“日本語入力システム”など~

2014年9月22日
独立行政法人情報処理推進機構

 IPA(独立行政法人情報処理推進機構、理事長:藤江 一正)は、2013年度に採択した未踏クリエータ22人の中から卓越した成果を挙げた9名を「スーパークリエータ」として認定しました。


 高度情報通信ネットワーク社会推進本部(IT総合戦略本部)が取りまとめた『「創造的IT人材育成方針」~ITとみんなで創る豊かな毎日~』(*1)では、安全・安心にITの利便性を享受できる社会を構築するために求められている能力として「情報の利活用力」と「情報の開発・応用力」を挙げ、この2つの能力を基盤に「突出したIT人材」を“発掘する場”と成長を促すための“チャレンジする場”を提供することが必要とされています。

 IPAの未踏IT人材発掘・育成事業(未踏事業)は、この「突出したIT人材」を発掘・育成する事業として2000年度から実施しています。これまでに約1,600名のクリエータを輩出し、採択されたクリエータの中から、特に卓越した能力を持つと認められた人材を「スーパークリエータ(*2)」として256名を認定してきました。

 2013年度はスーパークリエータに9名(7プロジェクト)を認定しました。
 認定者の平均年齢が22.9歳となる中で、うち1名については、未踏事業14年の歴史で最年少(17歳5ヶ月)での認定者となりました。このクリエータは、あたかも人間が行うように多様な質問に柔軟に回答できる“質問応答システムの理論とスマートフォンで動作するデモアプリの開発”を行いました。
 その他、クラウドファンディング(*3)に出展し高い評価を得た、自分でプログラムできる“自律飛行可能な手のひらサイズの小型飛行ロボットシステムの開発”など、新規性、開発力、将来の可能性が高い人材を認定しました。
 昨今のIoT(Internet of Things)やロボット技術への注目等、ITとハードウェアを駆使したイノベーション創出の潮流の中、認定者の実施プロジェクトの内約半数の3プロジェクトがハードウェア開発を含めたプロジェクトとなるなど、ソフトウェアに加えハードウェアの開発まで手がける突出した人材が増えている傾向が散見されています。

 認定されたスーパークリエータたちは、これからの日本のIT社会の進化を牽引する若きリーダーであり、今後より一層幅広い領域で活躍することが期待されています。
 また、IPAでは、2013年度の「スーパークリエータ認定証授与式」を9月24日に開催します。参加費は無料で、誰でも参加できます。授与式ではスーパークリエータによるプロジェクトの紹介があり、卓越した成果を観ることができます。

第20回未踏IT人材発掘・育成事業修了式兼スーパークリエータ認定証授与式
  • 開催日時:2014年9月24日(水)13:30~
  • 開催場所:渋谷エクセルホテル東急 6Fプラネッツルーム
 詳細は以下のウェブページをご覧ください。

スーパークリエータの実施プロジェクト概要(詳細は「別紙」参照)

1)誰でも簡単にタッチ入力に反応する作品を作ることができるツールキットの開発(別紙1頁)
 振動している物体に触ると音質が変化することに着目し、物体の振動(周波数)を計るセンサー(ハードウェア)と、接触した箇所(位置)によって変化する固有の振動(周波数)を学習・認識させるソフトウェアで構成されるツールキット「Stethos(ステトス)」を開発しました。
 このツールキットを使えば、中学1年生でも人形を使ったタッチ入力装置の制作に成功するなど、電気回路等の専門技術を持たない一般の人でも、たとえば身の回りにある金属やプラスチックなどの日用品を使って簡単にタッチ入力を扱うデバイスを作ることが出来るようになります。

2)自分でプログラムできる自律飛行可能な手のひらサイズの小型飛行ロボットシステム(別紙3頁)
 遠隔からの操作で操縦しなくても安定して飛行できる自律制御機能を備えた、手のひらサイズの小型飛行ロボット「Phenox(フェノクス)」を開発しました。全長約12cm、重さ約60gの機体に、FPGA (*4)、マイク、カメラ、超音波センサ、Linuxシステムなどを搭載し、独自の制御システムを構成しています。
 またユーザはこのロボットシステムに任意の動作を設定するプログラムができます。実際、開発者は、複数人の手の上を「Phenox」があたかもキャッチボールをするように動くプログラムを作りました。
 また本機をアメリカのクラウドファンディングKickstarter(キックスターター)に出展し、限定モデル30台を32時間以内に完売して、市場ニーズを掴んでいることを示しました。

3)実用的な質問応答システムの開発(別紙5頁)
 Semantic Parsing (*5)(セマンティックパージング:意味的構文解析)という手法を元にして、多様な質問に人間のように柔軟に応答できる、質問応答の理論の考案と、この理論を使いスマートフォンで動作する“質問応答システム”のデモアプリケーションを開発しました。
 既存の質問応答システムはルールベースという手法が用いられており、質問への回答パターンがあらかじめ固定されているため柔軟さに欠けていました。本理論を利用すれば、Semantic Parsing手法が得意とする複雑な質問に対して適切な応答を導くことができ、誤った応答をした場合でも、ユーザが修正した正しい応答を学習し、次回以降の応答を改善することができます。また“〇〇駅についたら音を鳴らす”といった将来の特定の状況に応じた指示を設定することができ、質問応答システムとしての実用性も兼ね備えています。

4)短時間で料理写真をより美味しそうに見えるようにする動画生成システムの開発(別紙7頁)
 料理写真の一部、あるいは、全体に動きを加え、より美味しそうに見えるように変換するソフトウェア「SizzTass(シズタス)」を開発しました。変換は半自動なため、操作に不慣れな利用者でも動かしたい個所や動かし方を指定するだけで、ソフトウェアが数秒から数分で動画化を行い、同時に音も付加することができます。鍋ものがグツグツ煮えている様子や、シャンパングラスの中に泡が立ち上っている様子などを簡単に表現することができます。

5)外部動力に頼らない人力によるメカニカルスーツの開発(別紙9頁)
 アニメや映画等に登場する身体動作を拡大するロボットのように四肢動作を拡大する装置“動作拡大型メカニカルスーツ”の開発を行いました。“メカニカルスーツ”を操作者が人力で楽に操作できるよう独自のプログラムも活用し改良を重ねた結果、総重量40kgあるスーツを1人で装着出来るようになり、また従来よりも12倍程度(従来:5分、新バージョン:60分)長く操作できるようになりました。

6)メディアアートのためのプログラミングライブラリの開発(別紙11頁)
 3D、2Dグラフィックスや音を使ったアプリケーションを簡単に作れるようにするライブラリ「Siv3D(シブスリーディー)」を開発しました。最新の3Dレンダリング技法やKinect (*6)(キネクト)、Leap Motion (*7)(リープモーション)などの入力デバイスをサポートし、プログラミングが出来ない人でも簡単に扱えるようにしました。300以上のサンプルコードを準備しており、使い方も簡単に学ぶことが出来ます。
 このライブラリを使うと、アプリケーション開発に必要なプログラミングを一から記述する必要がないため、例えばわずか10行程度のプログラミングコードでお絵かきソフトを作ることができるなど、アプリケーション開発のコスト削減が期待できます。
 本ライブラリを利用したユーザ作品は既に15以上あり、そのうち手書き風イラスト作成ソフト「HamSketch(ハムスケッチ)」はニコニコ動画での関連動画の再生数が1か月で15万回を超える人気アプリとなっています。

7)ユーザの利用シーンに応じて最適な入力候補を提示するIME(日本語入力システム)(別紙13頁)
 今までのIMEでは入力した単語の変換候補を提示するものでした。このIMEは、通常の変換候補に加えコンテクスト(使っている状態・状況)で、使うことが想定される最適な推薦候補を「いつ」「どこで」「何をしているか」を踏まえて提示します。たとえば、朝の通勤時に交通機関の運行に支障が生じた場合、 “ちえん” と入力すると “遅延” などの変換候補が表示されますが、それと同時に “事故” “電車” “遅刻” “遅れます” などの推薦候補が表示され、入力時間とタッチ数を減らすことができます。このIMEをスマートフォン上のシステムとして開発しました。

脚注

(*1) 「創造的IT人材育成方針」~ITとみんなで創る豊かな毎日~:
   http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/dec131220-2.pdf 別ウィンドウで開く

(*2) スーパークリエータ認定基準:①アイディアや発想などの「新規性」、②企画力や設計力、プログラミング能力といった「開発能力」、③末恐ろしさを秘めた「将来の可能性」。

(*3) クラウドファンディング:ベンチャー企業や特定のプロジェクトなどが、インターネットを通じて不特定多数の人から比較的少額の資金提供を受けて事業資金などを調達する手法。

(*4) FPGA:Field Programmable Gate Arrayの略。回路をプログラムできるLSI(集積回路)。

(*5) Semantic Parsing:自然言語の構文解析に付随して意味情報を与えることにより、論理的な質問応答を可能にするような手法のこと。

(*6) Kinect:マイクロソフト社から発売されている、人のジェスチャーや音声などを認識するデバイス。全身20点の骨格位置を追跡し、人の位置や動きを認識することができる。

(*7) Leap Motion:Leap Motion社から発売されている、手や指の動きを認識するデバイス。両手と10本の指を同時に認識することができる。

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本件に関するお問い合わせ先

IPA IT人材育成本部 イノベーション人材センター 神島/長澤

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