2012年3月28日
独立行政法人情報処理推進機構
IPA(独立行政法人情報処理推進機構、理事長:藤江 一正)技術本部 ソフトウェア・エンジニアリング・センター(以下、SEC)は、国内の中・大規模(*1)な非ウォーターフォール型開発プロジェクトの事例を収集し、中・大規模のプロジェクトで非ウォーターフォール型開発の適用を成功に導くためのポイントをまとめた、「非ウォーターフォール型開発の普及要因と適用領域の拡大に関する調査」報告書を公開しました。
URL: http://sec.ipa.go.jp/reports/20120328.html
近年の日々加速するビジネススピードは、ビジネスを実現する情報システムの要件に変化をもたらしています。従来、多くの情報システム開発、特に規模の大きなプロジェクトにおいて、「ウォーターフォール型開発」が用いられてきました。しかしこの開発手法の場合、開発前に要件を確定させることが前提となっており、要件の変化への対応が求められる昨今の開発に適合させることが難しいと言えます。一方、この変化に柔軟に対応できる開発手法として、アジャイル型開発をはじめとする「非ウォーターフォール型開発」があります。しかし、非ウォーターフォール型開発は、密接なコミュニケーションを必要とするため、従来その多くは、少人数での規模の小さい開発プロジェクトやWebサービスなどの一部のビジネスモデルでの適用に限られていました。
IPA/SECでは、2010年度より非ウォーターフォール型開発の適用領域拡大に向けた事例調査および委員会活動を進めており、2011年度の活動報告書(*2)の中で、以下のような疑問点が解決されれば、中規模以上のプロジェクトにも非ウォーターフォール型開発の適用が進むのではないかと指摘しました。
今回の調査では、中規模および大規模プロジェクトでの非ウォーターフォール型開発の先行事例を収集し、上記の課題の解決方法やその他の課題などに対する工夫等の調査を実施しました。その結果、中・大規模な開発プロジェクトに、従来小規模向けとされてきた非ウォーターフォール型開発を適用し、成功させるには次のようなポイントがあることがわかりました。
| No. | 課題 | 対策 |
|---|---|---|
1 |
組織体制とコミュニケーション | 開発者による顧客役の設置、チームメンバー全員およびチームリーダーのみの2種類の朝会の実施。全体で反省会を実施。 |
2 |
組織への展開方法 | 試行チームから始めて段階的に導入。強いリーダーシップを持つ人物をメンバーにいれたり、プロジェクトに関わるようにする。 |
3 |
分散開発 | 最初は同一拠点で作業してその後に分散化。チケットシステムで見える化。テレビ会議、チャット、PC画面の共有などのコミュニケーションツールを活用。 |
4 |
アーキテクチャ、共通基盤 | 共通基盤を新規に開発する場合は、非ウォーターフォール型開発の手法やチームではなく専用の手法や体制で作業。 |
5 |
システムの分割と統合 | 互いに疎な機能単位でサブシステムに分割し、早期からサブシステム間で統合して継続的にテストを実施。 |
6 |
明確な問題意識と効果 | 顧客経営層や開発者が明確な問題意識を持つ。非ウォーターフォール型開発への期待(コスト低減と要求変化への迅速な対応)とその効果の測定方法が明確。 |
7 |
各種管理(契約や品質管理) | 組織間の契約がある場合は、要求の変化に対応し易い準委任契約を主とする。リリース前に専門チームによるセキュリティのテストや知財の確認を実施。 |
8 |
他の手法との組み合わせ | 非ウォーターフォール型開発は、変化の必要な部分にのみ適用。他の手法での開発と同期するポイントは、反復の終了時点に設定。 |
報告書にまとめた中規模および大規模の非ウォーターフォール型開発プロジェクトにおける課題と対策例が参考となり、非ウォーターフォール型開発の普及が進むことを期待します。
「非ウォーターフォール型開発の普及要因と適用領域の拡大に関する調査」報告書の詳細は、以下のURLをご覧ください。
URL:http://sec.ipa.go.jp/reports/20120328.html
(*1) ここでは、30人以上100人未満を中規模、100人以上を大規模と呼びます。
Tel: 03-5978-7543 Fax: 03-5978-7517 E-mail: ![]()
Tel: 03-5978-7503 Fax: 03-5978-7510 E-mail: ![]()