2011年3月31日
独立行政法人情報処理推進機構
IPA(独立行政法人情報処理推進機構、理事長:藤江 一正)オープンソフトウェア・センターは、「第4回地方自治体における情報システム基盤の現状と方向性に関する調査」を実施し、今般、その結果を報告書にまとめ、オープンソース情報データベース「OSS iPedia(*1)(オーエスエス アイペディア)」から公開しました。
URL: http://ossipedia.ipa.go.jp/doc/382/
地方自治体の業務のIT化が進む中、IT新改革戦略などの政府からの施策や税収減など、外部環境の変化により、情報システム間の重複排除や、共通の業務について各自治体内及び自治体間でのシステム間連携を行うなど、調達されるITシステムの役割も大きく変化しています。そのような中、IT調達におけるオープンソースソフトウェア(OSS)(*2)やオープンな標準(*3)の積極的な活用は、コスト削減効果やシステム連携性の向上だけでなく、調達に対するオープンで公正な競争環境が作られることから、地元の情報サービス産業のビジネスチャンスの拡大や、高度なITスキルを持った人材の地方における雇用機会の拡大などの効果が期待されます。
そこで、IPAオープンソフトウェア・センターはマーケット分析ワーキンググループを設け、これまで2007年度から地方自治体における情報システム調達の現状、OSSやオープンな標準を採用する上での促進要因および阻害要因に関する調査を実施してきました。今回は第4回目(*4)の調査報告書となります。
(1) 調査方法:アンケート調査、ヒアリング、ワークセッション(*5)、Web・文献調査
(2) アンケート配布対象: 都道府県(47)、その他の市(786)、特別区(23)
合計856団体
(3) アンケート有効回答数:416団体(回収率48.6%)
(1) CIO等の本格的な関与が鍵
アンケート調査において、CIOが情報政策に本格的に関与している自治体ほど、「情報資産の調達・管理」、「システム検討における事業部門と情報システム部門との協働」、「業務見直し」、「オープンな標準の採用」等を、積極的に推進している傾向が強いことが明らかになりました。
ヒアリングやワークセッションでの調査においても、CIOや情報政策部門のキーマンが、庁内全体を見渡し、事業部門との密なコミュニケーションを図りながら、システム調達の最適化やオープンな標準に基づく採用技術の判断・調整を行っていることがわかりました。

図1 システムの検討時における、業務見直し(BPR)の取組み状況(CIO有無別)
(2) 広がるサービス調達(*6)
アンケート調査において、「サービス調達に対する取組み状況」という設問に、約半数(51.9%)の団体が、ホームページや施設予約の申請届出受付等の住民・企業向けサービスや、バックオフィス業務等の職員向けサービス等、「自団体で独自に検討した分野について採用している」ことがわかりました。規模別にみると、現時点では大規模団体ほどサービス調達を推進しています。一方、「今後の調達方式の意向」という設問では、人口3〜10万人規模の団体が相対的にサービス調達を採用する意向が強く、今後、小規模団体がサービス調達を採用していくことが予想されます。

図2 サービス調達に対する取組み状況(人口規模別)

図3 今後の調達方式の意向(人口規模別)
(3) 高いコスト削減志向とシステム間連携の効果への期待
近年の財政状況の逼迫からコスト削減を重視する傾向が依然として高く、コスト削減を実現する調達方式として、サービス調達や、自団体内及び他団体との共通基盤のシステム間連携への期待が高まっていることがわかりました。

図4 共通機能等の統合により期待される効果
IPAは本報告書が、地方自治体のITシステムをとりまく環境や調達・運用の現状についての理解を深める助けになることを期待します。また、それぞれの地方自治体にとって、現状の情報システム調達に関する課題を客観視する助けとなり、また今後のIT調達の効果を高めることにつながること、さらにはシステム構築やITサービスを提供する企業のサービス改善による競争力強化の一助になることを期待します。
http://ossipedia.ipa.go.jp/doc/382/
| (*1) | OSS iPedia(オーエスエスアイペディア): IPA オープンソフトウェア・センターが構築・運営するオープンソース情報データベースです。( http://ossipedia.ipa.go.jp/ ) |
| (*2) | オープンソースソフトウェア(OSS):ソースコードが無償で公開され、誰でもその改変と再配布が自由に行えるソフトウェアのこと。 |
| (*3) | オープンな標準: 2007年3月に各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議( http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/cio/index.html )が発行した「情報システムに係る政府調達の基本指針」( http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/2007/070301_5.html )の中で、「原則として、(1)開かれた参画プロセスの下で合意され、具体的仕様が実装可能なレベルで公開されていること、(2)誰もが採用可能であること、(3)技術標準が実現された製品が市場に複数あること、の全てを満たしている技術標準をいう。」と説明されています。 |
| (*4) | 第1回調査報告書:http://ossipedia.ipa.go.jp/doc/170/ 第2回調査報告書:http://ossipedia.ipa.go.jp/doc/185/ 第3回調査報告書:http://ossipedia.ipa.go.jp/doc/199/ |
| (*5) | 地方自治体で情報システムの調達に携わっている担当職員や地方自治体の情報システム構築・運用に参画しているIT企業の取組み紹介及びディスカッション、意見交換を実施。 |
| (*6) | サービス調達:ここでは、ASP/SaaS、共同アウトソーシング、自治体クラウド等のように、庁外から業務機能をサービスとして調達する方式のことをいう。 |
Tel: 03-5978-7503 Fax:03-5978-7510 E-mail:![]()