2011年3月22日
独立行政法人情報処理推進機構
IPA(独立行政法人情報処理推進機構、理事長:藤江 一正)に設置したRuby標準化検討ワーキンググループ(委員長:中田 育男 筑波大学名誉教授)にて原案作成を進めてきたプログラム言語Rubyの技術規格書が、JIS規格、JIS X 3017として、2011年3月22日に制定されました。
JIS規格化されたことにより、Rubyの相互運用性(*1)が向上し、Rubyを用いてより生産性の高いプログラム開発・システム開発が可能になります。
Rubyは1993年に日本で発案され、開発が開始された、日本発のプログラム言語です。豊富な機能と簡便さとを併せ持ち、高機能なアプリケーションを簡潔に記述できる等の特長から、セールスフォース・ドットコムや楽天など、国内外に有名な数多くの会社のアプリケーション開発やシステムの開発に用いられています。また、島根県や福岡県などは、Rubyを核とした地域ソフトウェア産業振興施策に取り組んでいます。
Rubyが様々なプラットフォーム上で使用されるにつれ、その社会的な責任範囲が拡がり、Rubyで記述されたシステムの可搬性(*2)や、それらと外部システム等との相互接続性の確保が求められるようになってきました。さらに、Rubyを扱える技術者の育成や、Rubyを用いた大規模なシステム開発への投資、官公庁においてRubyに関する調達を行うには、安定し、信頼できる言語仕様を参照できることが必要となります。
そこで、IPAはRuby標準化検討ワーキンググループを設置し、Rubyの文法や基本的なライブラリ(*3)等の言語仕様をJIS規格とするため、原案の作成に取り組み、Rubyコミュニティによるレビュー、日本工業標準調査会のレビューを経て、このたびJIS規格として制定されました。
Rubyによるプログラムを、この規格に準拠して作成することにより、その可搬性や外部システムとの相互接続性を高めることができます。また、Rubyで書かれたプログラムを実行するためのサーバ環境等を開発する際の仕様の拠り所となり、安心して開発投資を行うことができます。
Rubyは、国際的なコミュニティの協力の下で日々進化、発展を遂げています。今回のJIS規格原案作成に当たっては、これらコミュニティの意見を反映すること、コミュニティを中心とした今後の発展を阻害しないことについて、特に注意を払ってきました。そのために、Rubyコミュニティとの十分なコミュニケーションを図るとともに、Rubyの発展とシステムの可搬性の確保を両立するために規格の範囲を慎重に定めました。
このたびのRubyの標準化により、Rubyを用いたアプリケーションの開発・提供が安定し、生産性の高いプログラム開発、システム開発が可能となり、より一層の利用促進が期待されます。
Rubyが広く世界で利用されていることを踏まえ、IPAはJIS規格制定に続き、この規格を国際標準にするため、ISO/IEC JTC 1(*4)に対して国際標準化の提案をするよう、日本工業標準調査会に申し出を行いました。欧米の技術者、機関、国などが開発を進め、JIS規格あるいは国際標準化されているプログラム言語(*5)は多数ありますが、日本で発案されたプログラム言語がJIS規格となるのは初のことであり、さらに、JIS規格から国際標準化の提案をするプログラム言語についても、Rubyが初となります。
(*1)異なるシステム間で情報交換ができ、また交換した情報を利用できる能力に関する特性。
(*2)他の環境(プラットフォーム)への移行のしやすさに関する特性。
(*3)頻繁に使用される機能を部品化し、アプリケーションから利用できるように集めたもの。
(*4)ISO/IEC JTC 1:ISO(国際標準化機構)は電気・電子技術分野を除く国際規格の策定を行っている組織。IEC(国際電子標準会議)は電気・電子技術分野の国際規格の策定を行っている組織。JTC1はISOとIECとの合同技術委員会で、ソフトウェア技術に関する標準化を担当する委員会。
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