2010年5月7日
独立行政法人 情報処理推進機構
IPA(独立行政法人情報処理推進機構、理事長:西垣 浩司)ソフトウェア・エンジニアリング・センター(以下、SEC)は、ソフトウェア開発の生産性や品質を比較、評価するための手法(以下、ベンチマーキング1)の国際標準化に向けて、「ソフトウェア開発データ白書」の英訳版2を、2010年5月7日からIPAのWebサイトで公開しました。
URL:http://www.ipa.go.jp/english/sec/reports/20100507a.html
IPA SECでは、ソフトウェア開発プロジェクトにおけるトラブル(例:スケジュール遅延に伴う工数の増加や開発費用の増大)を抑制するために、ベンチマーキングの活用を推奨しており、2005年から「ソフトウェア開発データ白書(以下、白書)」の刊行、SECセミナーの開催やプロジェクト診断ツールの無償公開などにより、普及に努めています。白書は、日本のソフトウェア開発プロジェクトにおける、客観的な計測データに基づく情報システムの生産性(例:開発期間に対して実装した機能数)や品質(例:発生不具合件数)等のプロジェクトデータを約2000件掲載しています。
現在、ISO/IEC3 JTC 1/SC 74において、ベンチマーキングの枠組みを作成し、これを国際標準にするための作業を進めています。この作業においては、これまで白書を一部英訳して、日本におけるソフトウェア開発の生産性や品質に関するベンチマーキングの成果について説明しており、この白書の一部英訳は国際規格ISO/IEC 291555シリーズの原案を作成する際の主要情報源の一つになっています。この度の白書英訳版の公開は、今後の国際標準化への一翼を担うことを目指しています。
また、5月23〜28日に新潟において第23回ISO/IEC JTC 1/SC 7総会&WGs会議が開催されることになっており、この席上日本国内のベンチマーキング活動に関する成果を、ベンチマーキングWGのエディタを務めている当機構研究員が、紹介する予定です。
IPA SECでは海外諸団体との情報交換や共同研究などにも積極的に取り組んでおり、今回の英訳版の公開を契機に日本国内でのベンチマーキング活動に関する成果が広く海外で認知され、ISO/IEC 29155シリーズに白書で採用している指標や方式が数多く採用されるよう取り組んでいく方針です。
また、中長期的には国際協業で日本とのソフトウェア受発注を行う海外のベンダーやユーザーが、白書英訳版にある客観的な生産性や品質の数値を把握できるようになることを期待しています。
◆本書の利点:
1)国内のソフトウェア開発プロジェクトにおける工数や規模などの収集データに基づいた工数と工期の関係、規模と発生不具合数の関係など、約600種類の統計分析結果(図表)を掲載しており、日本のIT産業の実力を多面的かつ客観的に示しています。
2)グローバル化の進むIT分野での国際協業において、ソフトウェア開発プロジェクトの生産性や品質の目標値に関する受発注者間の認識を合わせるための情報を提供します。
1 |
自社の技術力や製品の品質などを表わす指標値を、同業他社などの優良企業のそれと比較分析し、自社の実力や改善のポイントを把握するという経営改善・業務改善手法として1980年代から欧米を中心に発展してきた手法。ソフトウェア・エンジニアリングの分野では,類似事例の実績値をもとに生産性や品質を見積ったり評価するためにも用いられる。 |
2 |
英訳の対象は「ソフトウェア開発データ白書」の2007年度版と2008年度版の一部。 |
3 |
ISO/IEC:ISO(国際標準化機構)は電気・電子技術分野を除く国際規格の策定を行っている組織。IEC(国際電子標準会議)は電気・電子技術分野の国際規格の策定を行っている組織。 |
| 4 | JTC 1/SC 7:ISOとIECとの合同技術委員会(JTC 1)で、ソフトウェア技術に関する標準化を担当する委員会。 |
| 5 | ISO/IEC 29155シリーズ:「ITプロジェクト性能ベンチマーキングの枠組み」に関する国際標準。 |
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