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厳しさを増す中小情報処理産業の経営状況
〜「第25回 情報処理産業経営実態調査報告書」概要について〜

2004年1月14日
独立行政法人 情報処理推進機構
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独立行政法人 情報処理推進機構(略称:IPA、理事長:藤原 武平太)は、情報処理産業の財務及び資金調達状況等の調査として「情報処理産業経営実態調査」を実施し、その報告書の概略をまとめました。今回の調査においてのポイントは以下のとおりです。

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1.調査の特徴

本調査の特徴は、情報処理産業について、売上高、従業員数に加えて、確定決算に基づく財務の状況を調査していることにある。
調査は今回で1978年以来25回目の実施。調査対象は、情報処理産業約7,700社(「情報処理・ソフトウエア会社録」〜アジアパシフィックシステム総研株式会社(シィ産業研究所)〜)のうち売上高上位4,000社・設立年月が2001年4月以前の企業、及びIPA債務保証制度利用企業の4,396社。調査方法は、書面によるアンケート調査。今回調査の有効回答数1,006社、有効回答率22.9%であった。
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2.有効回答企業の概要

有効回答企業1,006社のうち、【売上高10億円以下の企業】が過半数を占めており、また、【従業員100人以下の企業】が約3分の2を占めている。
〔売上高規模別〕
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企業数 |
構成比 |
備考 |
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〜 1億円 |
46社
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4.6%
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[売上高 10億円以下の企業]
企業数:570社
構成比:56.7%
最小値:100万円
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1億円超 〜 5億円 |
328社
|
32.6%
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5億円超 〜 10億円 |
196社
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19.5%
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10億円超 〜 20億円 |
164社
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16.3%
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[売上高 10億円超の企業]
企業数:436社
構成比:43.3%
最大値:1,597億円
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20億円超 〜 50億円 |
150社
|
14.9%
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50億円超 〜 100億円 |
43社
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4.3%
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100億円超 〜 200億円 |
38社
|
3.8%
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200億円超 〜 300億円 |
13社
|
1.3%
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300億円超 〜 500億円 |
16社
|
1.6%
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500億円超 〜 |
12社
|
1.2%
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合計 |
1,006社
|
100.0%
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※構成比:小数点第二位以下四捨五入
〔従業員規模別〕
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全体 |
構成比 |
備考 |
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従業員100人以下の企業 |
653社
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64.9%
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最小値:1人
最大値:6,099人
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従業員100人超の企業 |
353社
|
35.1%
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合計 |
1,006社
|
100.0%
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※構成比:小数点第二位以下四捨五入
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3.売上高の状況

2002年度の【全体】の売上高は3兆6,348億円(1社平均売上高36.1億円、1人平均売上高2,010万円)、売上高成長率はマイナス1.4%となり、1994年度以降8年連続増収で比較的堅調に伸びていた情報処理産業の売上が下降を示した(特に売掛金等が前年度比マイナス18.4%大幅な減少が見られる〜「5.財務状況」参照〜)。「特定サービス産業実態調査」(METI調査)においては1995年度以降最低の成長率(2.0%)となっており、ほぼ同様の傾向が見られる。
これは長引く不況下、IT投資を抑制する企業が増加していることやソフトウエア開発の低コスト化を図るために特に情報処理産業における大手企業の外注先が国内の下請け企業から国外へシフトしていること等が一般的に指摘されていることを裏付けていると考えられる。

(注1)本調査の各年度の数値は過去に実施した本調査の数値である。
(注2)「経済産業省経済産業政策局調査統計部 平成14年度特定サービス産業実態調査(確報)」参照。
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4.損益状況

売上高経常利益率〔= (経常利益 / 売上高) ×100 〕(※経常的に行われる営業活動および財務活動の効率性を判断する比率)については、【売上高10億円超の企業】の5.6%と比較して、【売上高10億円以下の企業】は3.5%と著しく低い水準となっており、他産業と同様に情報処理産業における中小企業の総合的な収益力も弱いことが表れている。
また、営業経費の内訳では、【売上高10億円超の企業】の人件費のウェイトが33.2%であるのに対し、【売上高10億円以下の企業】については50.5%と著しく高くなっており、情報処理産業における中小企業の人件費負担は非常に大きい。

(参考)
全産業における
・売上高経常利益率=2.3%
・売上高人件費比率=14.3%
サービス業における
・売上高経常利益率=2.3%
・売上高人件費比率=21.7%
(法人企業統計調査〜財務省〜より)
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5.財務状況

情報処理産業全体の2002年度末総資産は2,795,949百万円となり、(※1)前年度比2.0%減少となっている。特に【(※2)売上高10億円超の企業】の総資産が減少している(前年度比2.1%減)。資産の部について見てみると、「(※3)繰延資産」の大幅な減少が特に目を引く(前年度比28.9%減)。
なお、負債の部の「(※4)長・短期借入金」がそれぞれ8.2%、9.5%減少。資本の部の「(※5)未処分利益を含む内部留保」が7.5%減少となっている。
2002年度 B/S(対前年度比) |
科目 |
全体 |
科目 |
全体 |
|
流動資産 |
1.3% |
流動負債 |
▲0.2% |
|
(現・預金) |
(▲2.2%) |
(買掛債務) |
(▲3.7%) |
|
(受手・売掛未収金) |
(▲0.6%) |
(短期借入金) |
(▲8.2%)
(※4) |
|
固定資産
|
▲4.7% |
固定負債 |
0.5% |
|
(電子計算機設備) |
(▲8.7%) |
(長期借入金) |
(▲9.5%)
(※4) |
|
(投資等) |
(▲14.1%) |
資本 |
▲4.4% |
|
繰延資産 |
▲28.9%
(※3) |
(資本金) |
(3.0%) |
|
− |
− |
(未処分利益を含む内部留保) |
(▲7.5%)
(※5) |
|
資産合計 |
▲2.0%
(※1) |
負債・資本合計 |
▲2.0%
(※1) |
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以上の傾向を【売上高10億円以下の企業】と【売上高10億円超の企業】で比較すると、
1.「(※6)繰延資産」については、【売上高10億円以下の企業】に比べて【売上高10億円超の企業】は大幅な減少(前年度比29.8%減)が見られる。
2.「(※7)長・短期借入金」については、【売上高10億円以下の企業】に比べて【売上高10億円超の企業】は減少が著しい(長期借入金=前年度比11.4%減、短期借入金=前年度比9.0%減)。
3.「未処分利益を含む内部留保」については、【(※8)売上高10億円以下の企業】は10%程度の増加(前年度比9.9%増)が見られるが、対極して【(※9)売上高10億円超の企業】では8.0%の減少となっている。
以上のことから、情報処理産業における大企業については財務体質の強化に着手しているのに対して、中小企業については企業防衛的な経営の傾向が見られる。
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2002年度 B/S(対前年度比)
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科目
|
全体
|
全体
|
科目
|
全体
|
全体
|
|
流動資産
|
▲0.5%
|
1.4%
|
流動負債
|
▲3.0%
|
0.0%
|
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(現・預金)
|
(▲7.6%)
|
(▲1.6%)
|
(買掛債務)
|
(▲5.6%)
|
(▲3.6%)
|
|
(受手・売掛未収金)
|
(▲5.9%)
|
(▲1.0%)
|
(短期借入金)
|
(2.1%)
|
(▲9.0%)
(※7)
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|
固定資産
|
0.3%
|
▲5.0%
|
固定負債
|
▲4.3%
|
1.0%
|
|
(電子計算機設備)
|
(▲11.5%)
|
(▲8.5%)
|
(長期借入金)
|
(0.5%)
|
(▲11.4%)
(※7)
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(投資等)
|
(▲2.1%)
|
(▲14.5%)
|
資本
|
6.4%
|
▲4.8%
|
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繰延資産
|
3.7%
|
29.8%
(※6)
|
(資本金)
|
(3.0%)
|
(3.0%)
|
|
−
|
−
|
−
|
(未処分利益を含む内部留保)
|
(9.9%)
(※8)
|
(▲8.0%)
(※9)
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資産合計
|
▲0.3%
|
▲2.1%
(※2)
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負債・資本合計
|
▲0.3%
|
▲2.1%
(※2)
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借入金依存度〔= (長・短期借入金 / 総資本) ×100 〕(※企業が保有している資産のうち、どのくらいが外部からの借入金によって賄われているかを示す経営指標。一般的に依存度の高い企業は財務の健全性が低いとみなされる。)については、【売上高10億円以下の企業】は40%前後で推移しており、大きな変化は見られないが、近年の【売上高10億円超の企業】は15%程度の低い水準ではあるが小幅ながら増してきている。
(注)本調査の各年度の数値は過去に実施した本調査の数値である
(参考)
全産業における
・借入金依存度=37.1%
サービス業における
・借入金依存度=46.8%
(法人企業統計調査)
自己資本比率〔= (自己資本 / 総資産) ×100 〕(※企業の安全性を判断する経営指標)については、【売上高10億円超の企業】は45%前後と大きな変化は見られないが、【売上高10億円以下の企業】については1999年以降30%台を推移しながら小幅ながら高くなってきており、中小企業における企業防衛的な経営の傾向が見られる。
(注)本調査の各年度の数値は過去に実施した本調査の数値である
(参考)
全産業における
・借入金依存度=27.4%
サービス業における
・借入金依存度=21.5%
(法人企業統計調査)
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6.民間金融機関からの資金調達状況

民間金融機関からの借入が厳しくなったと感じた(一般的にいわれている"貸し渋り"の)割合を5年前の調査(1998年度調査)と比較すると、2003年度調査では「あり」との回答が4.9ポイント減少した。なお、"貸し渋り"の内容としては、5年前の調査(1998年度調査)では「金利の引き上げを求められた」が最も多く全体の26.6%を占めていたが(2003年度調査=24.1%)、2003年度調査では「新規貸出や貸出額の増額を断られた」が最も多く全体の26.1%を占めている(1998年度調査=22.1%)。

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担保別調達状況 |
1998年度調査 |
2003年度調査 |
担保有り |
24.1% |
33.7% |
(他機関等の保証) |
(3.3%) |
(11.3%) |
(IPAの保証) |
(0.2%) |
(0.4%) |
担保なし |
75.9% |
66.3% |
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【売上高10億円以下の企業】と【売上高10億円超の企業】を比較すると、【売上高10億円以下の企業】については、5年前の調査(1998年度調査)と比較して2003年度調査では「あり」との回答が9.5ポイント増加しており、一方、【売上高10億円超の企業】については、5年前の調査(1998年度調査)と比較して2003年度調査では「あり」との回答が31.7ポイント減少した。
以上のことから、民間金融機関からの借入に対する状況は、情報処理産業における大企業と中小企業との間では2極化していることが確認できる。
売上高10億円以下の企業

売上高10億円超の企業

それに伴い、借入金の担保別調達状況は、「担保あり」のうち各保証制度の利用等が1998年度調査時と比較すると、3.5%から11.7%へ大きく増加しており、資金調達における債務保証制度の有用性が確認できる。なお、特に、【売上高10億円以下の企業】は【売上高10億円超の企業】と比較して、債務保証制度を4倍以上活用しているというデータが得られている。
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7.教育研修状況

2002年度の在職者教育研修状況では、【売上高10億円超の企業】の総研修費用(96.0億円)は、【売上高10億円以下の企業】(7.3億円)の13.2倍にもなり(前年度は8.4倍)、また、1人当りの研修費用についても【売上高10億円超の企業】は13.0万円に対して【売上高10億円以下の企業】は1.7万円であることから7.6倍もの格差が見られ(前年度は6.3倍)、さらに1社当りの研修費用についての格差は16.4倍となっている(前年度は10.5倍)。これらのことから、情報処理産業における中小企業の教育研修に費やす"金"に余裕がなくなってきていることがうかがえる。
【売上高10億円超の企業】は、総研修費用が前年度比マイナス5.0%であるにもかかわらず研修人数が前年度比25.2%増となっていることから、情報処理産業における大企業は社員教育については重要視している一方、教育研修費用を経費削減の対象の一つとしていることが考えられる。
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8.雇用状況

2002年度の【売上高10億円超の企業】の在籍者数は前年度比1.6%増であるが、【売上高10億円以下の企業】の在籍者数は前年度比1.1%増であり、伸び率が低い。昨年度の調査(2001年度調査)と比較すると特に【売上高10億円超の企業】の伸び率が大きく落ち込んでいることから、売上高の減少に伴い、雇用状況にも影響が及んでいることが考えられる。
また、募集(予定)人数(新入社員採用・中途採用の全てを含む)が【売上高10億円超の企業】及び【売上高10億円以下の企業】ともに、伸び率がそれぞれ10%以上の減少となっており、昨年度の調査(2001年度調査)と比較しても伸び率の大幅な減少となっていることから、今後の雇用状況の悪化が予想される。
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