平成14年度未踏ソフトウェア創造事業


採択案件評価書

1.担当PM  紀 信邦(日本エンジェルス・インベストメント株式会社 取締役)
2.採択者氏名  玉寄 尊 (株式会社ネットジーン 契約社員)
3.委託金支払額  18,670,741円
4.プロジェクト実施管理組織  日本エンジェルズ・インベストメント(株)
5.テーマ名  分散協調型シンクライアント通信カーナビの開発
6.関連Webサイトへのリンク  なし
7.プロジェクト概要

 通信技術を活用して汎用的な小型の携帯機器上で利用できるカーナビ技術の開発を行う。サーバサイドにデータベースと計算の多くの部分を移すことにより、貧弱なCPUと小さな主記憶しか持たない汎用的な小型の携帯機器上でも動作するカーナビが実現できれば、大幅なコストダウンと小型化が可能になるはずである。

8.採択理由

サーバサイドに計算の多くの部分を移すことにより軽実装の携帯端末でも通信ナビゲーションができるようにしようという試みである。一見競争が激しく競合開発が多数存在することを思わせるテーマであるが、いくつかの困難が存在することから成功した開発は知られていない。

申請者の過去の実績、利用を予定しているカーナビ用のライブラリの実績から考えて実現可能性が高いテーマであり、テーマ内容を一部変更し予算額を変更して採択した。

9.開発目標

 携帯機器としてWindows CE for Automotiveを採用し、次のものを開発する。
 (1)携帯機器上で動作する軽量のカーナビ=クライアント。
 (2)サーバー側で動作するサーバーソフト。これには必要地図データ配信のほか経路探索機能なども含める。
 (3)低速通信での配信に適した軽量の地図データフォーマット。
 ベースのライブラリとしてネットジーン社のものを借用し、それを改変する部分も含め実現する。
 目標としては、サーバ上で探索した奨励経路と渋滞情報を地図とともに端末に配信・描画することを可能とし、64Kbpsの通信速度であっても時速120Kmでの走行に対して、遅れることなく配信、描画ができること、交通事情が変化した場合1秒以内に別の奨励経路を探索、配信することとした。

10.進捗概要

 開発の中途の時期に通信カーナビのサービスやGPS携帯機器での位置情報サービスの発表が相次ぎ、開発者は目標を見失ってしまったようだ。一般的に言えば、開発プロジェクトの途中で競合製品の内容がわかり自社製品が予想より強い競争に晒されると判断するケースである。このような場合、開発プロジェクトは競合製品の分析を行ったうえで戦略転換をするべきだが、未踏事業の場合はリスクすなわち開発資金を開発プロジェクト側が負担しないのだから戦略変換の自由度は高い。リスクに囚われずに自由な発想で開発を進めてよいのである。
 PMとしては、たとえ、日本で最大級の会社がサービスを開始しようが、より優れたものを開発しようという意気込みが開発者に欲しかったのだが、話し合いの結果、目標の範囲を狭めて遺伝的アルゴリズム(GA)を導入してサーバサイドの経路探索の部分に注力するという方針の転換に落ち着いた。

11.成果

 携帯機器に搭載されているGPSチューナーから位置情報を取得し、サーバ側で地図データの処理やマップマッチング、経路探索を行ったうえで携帯機器側に情報を描画するシステムとして開発した。地図データとしてはゼンリン及びS規格の形式に対応し、それぞれの形式用に本システムで使用するデータの構造に事前に変換する変換プログラムが介在する。





図1:位置の測定と地図の描画






図2:経路の表示

上の図は携帯端末の表示をカメラで撮影したものである。


12.プロジェクト評価

A:優れている B:期待した程度 C:もっと頑張れ D:落第
生産性・完成度は予算相対です。

先鋭性:B
生産性:C
完成度:C
波及力:B

 途中で方針を変更しこぢんまりとした開発となった。生産性・完成度ともにC評価を与えざるを得ない。

13.今後の課題

 厳しい評価をしたが、少人数の開発チームでこれだけのものが実現できていることはすばらしいのだから、もっと自信を持って大きな世界に挑戦して行くことを望む。