平成14年度未踏ソフトウェア創造事業


採択テーマ概要

1.担当PM  喜連川 優(東京大学 生産技術研究所 概念情報工学研究センター長 教授)
2.採択者氏名  白砂 哲
3.テーマ名  Grid上でアプリケーションの簡便な利用を可能にするGridポータルシステムの構築
4.採択金額  7,000,000円
5.テーマ概要

 高速なネットワークの普及によって、広域に分散した各種資源を集合的に利用して大規模計算を行う機構Gridが注目を集めている。Gridは一般に多様な管理主体に属した多数の各種計算資源によって構成されているため、使用には煩雑さが伴い、専門の知識を有しない一般の研究者が直接使用することは難しい。このため、Gridの使用を容易にするためのGridポータルと呼ばれる機構の必要性が認識されつつある。Gridポータルとは、特別なソフトウェアサポートを持たないクライアントからGrid上のアプリケーションを使用することを可能にするシステムである。ユーザは、Webブラウザでポータルにログインし、Gridアプリケーションの実行状態の監視と制御や、使用データや設定ファイルのアップロードや結果のダウンロードもできる。

 一方、生物学のゲノム解析の分野においては、バイオインフォマティックスと称されるデータの解析にコンピュータを使った研究が盛んに行われており、一般の研究者が利用できるさまざまなデータベースの検索サービスが公開されている。現在、多くのサービスサイトは非常に込み合っており、検索するまでの待ち時間が非常に長くなるという問題となっている。サービスを提供する側では、より早いスパコンの導入や、複数プロセッサを用いての並列処理の導入などにより対処を行っているが、需要に追いついていない。また、これらのサービスは、Webインタフェースのみが提供されているため、数千、数万のデータの検索には適していない。そのため、現在、大規模な検索を行う研究は、自前で計算資源を保有する大規模な組織に限られている。

 本研究では、さまざまなアプリケーションを簡便にGrid上で提供するためのポータルシステムの構築を行う。本ポータルシステムでは、ユーザインタフェース部の自動生成や、バックエンドにおけるGrid特有機能のサポートなどを行い、サービス提供者への負担を軽減する。また、生物学アプリケーションのようなデータベース持つアプリケーションに対処するため、本ポータルシステムでは、データ管理をGrid上にて提供する。これには、Grid上のノードへのデータの配布、また、頻繁にアップデートされるデータへの自動的な追従などが含まれる。データベースは、Grid上の各ノードに分散されるため、従来問題となっていたデータベースへI/Oのボトルネックが解消される。また、本システムの有用性を示すために、BLAST、FASTなどの実アプリケーションへの適応を行い、試験サービスを提供する。

6.採択理由

本提案ではGridポータルシステム構築のみでなく、応用についても検討されています。バイオインフォマティクスの研究者が実際に使用できるGrid環境の実現が具体的に計画されており、社会的還元が期待されます。