平成13年度未踏ソフトウェア創造事業
採択案件評価書
| 1.担当PM | 9.平木 敬 |
| 2.採択者氏名 | 高橋 大介 (筑波大学 電子・情報工学系 計算物理学研究センター講師) |
| 3.プロジェクト実施管理組織 | 株式会社三菱総合研究所 |
| 4.委託金支払額 | 8,948,108円 |
| 5.テーマ名 | <高速化した計算機システムにおける高速フーリエ変換ソフトウェア> |
| 6.関連Webサイトへのリンク | |
| 7.テーマ概要 提案テーマでは、高速化した計算機システムで使われる基幹的ソフトウェアとして、高速フーリエ変換(FFT)のソフトウェアを作成する。FFTは、画像処理や音声信号処理など、人間に役立つ情報処理を高速に行う上で必要不可欠な処理である。したがって、高速化した計算機システムにおいて広く使われることが予想される。 提案テーマにおける高速化手法であるが、昨年度の未踏ソフトウェア創造事業にて申請者が開発した、以下の手法を用いる。 1.メモリアクセスをできるだけ少なくするためのout-of-core算法に基づくキャッシュブロッキング 2.通信回数を少なくするための工夫、 3.並列性を高くする これらの手法に加えて積和演算命令向けの最適化を加え、さらに性能を向上させる。また、昨年度の未踏ソフトウェア創造事業においては2基底の並列一次元FFTのみをターゲットにしていたが、これだけでは汎用並列ライブラリとしては不十分である。 したがって、今年度は混合基底(例えば2、3、5基底)で多次元のデータを対象にした混合基底並列多次元FFTの高速化を行う予定である。これらの高速化においては、昨年度の高速化手法を活用することができる。 そしてこれらのFFTライブラリをWeb等にて世界に広く普及させるために、ドキュメント等を整備し、汎用の並列ライブラリとしてパッケージ化する予定である。 具体的なスケジュールであるが、平成13年11月までに、混合基底多次元FFTをPCクラスタや共有メモリ型並列計算機、高並列スーパーコンピュータ上に実装するとともに、より高い性能を得るためにチューニングを行い、幅広いアーキテクチャで高性能が得られることを目指す。 これらのソフトウェアはそれぞれ完成次第、逐次Webにて公開するが、それと並行して平成14年2月までに、汎用並列FFTライブラリの詳細な性能評価を行い、報告書を作成する予定である。 |
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| 8.採択理由 本テーマは、平成12年度からの継続であり、平成12年度において当初予想していた以上の成果が得られたことを高く評価する。平成13年度の計画である235基底への拡張と更なる高速化は、成果を広く普及するために必要な条件であり妥当である。しかしながら、新たにPentium4を用いたクラスタ環境を構築することは、当面普及していないシステムへの投資であり、むしろ労力が裂かれる分不利であり、Pentium4への適用は、数台のPCレベルで行うことが望ましい。 さらに、普及への努力、広報活動を重視することが必要である。これらの観点をもとに、開発予算計画の見直しが必要である。すなわち、Pentium4クラスタに関わる費用を削減し、PCの導入を追加する。また、ドキュメンテーションと配布用ソフトウェア環境作成など開発支援の費用を追加することが望ましい。 以上の結果をまとめ、予算額は1000万円が妥当であると判断した。 |
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| 9.成果とプロジェクト評価 本プロジェクトの成果として、2,3,5基底の多次元FFTライブラリが作成され、速度評価が行われた。現在多く用いられている高速FFTであるFFTWと比較して、安定してより高速な評価結果を得た。ただし、逐次計算における速度は、FFTWとほぼ並ぶものであるが、問題サイズが大きい場合を除き優位性は少ない。 成果報告書に述べられている評価結果は、 (1)MPIを用いた高速並列FFTライブラリとしては、世界で初めて汎用に利用可能なものであること、 (2)SMPを対象としたOpenMPによる、世界で初めての高速汎用FFTライブラリであること、 (3)SMPを複数結合したクラスタのためのOpenMP とMPIを複合した高速汎用FFTライブラリであること、 (4)評価の結果、並列環境では世界で最も高速なFFTライブラリであること、 を明確に示している。すなわち、平成13年度に得られた成果は、最も高速なFFTライブラリ群の一つであることは事実であると判断した。 |
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| 10.今後の課題 成果の普及が課題であり、具体的には下記項目があげられる。 ・ポータビリティの検証と拡大 ・和文と英文ドキュメントの整備 ・大型システムを用いた性能の検証。 本テーマは当初予測した以上の成果は達成した。並列FFTライブラリとしてはほぼ完成の状況となったと判断されるため、未踏ソフトウェアプロジェクトとしての時期は完了したと考えられる。今後、IPAなどによる成果普及、宣伝とメンテナンスに対する援助体制が確立することを期待する。 |
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