平成13年度未踏ソフトウェア創造事業


採択案件評価書

1.担当PM  2.上林 弥彦
2.採択者氏名  荒牧 英治 (京都大学大学院 情報学研究科 修士課程)
 本村 陽一 (独立行政法人 産業技術総合研究所 情報処理研究部門)
3.プロジェクト実施管理組織  財団法人京都高度技術研究所
4.委託金支払額  7,000,000円
5.テーマ名  <パーソナライズドインターネット視聴システム>
6.関連Webサイトへのリンク  
7.テーマ概要

 昨年の未踏のテレビ型Web視聴システムに刺激を受けてこれを発展させるために創案された提案である。

 受動的にインターネット情報にアクセスできるテレビ型試聴システムと連携し、個人に適応するさらに快適な視聴システムの開発を目指す。再生アプリケーションはTVMLプレーヤーに限らず、音声合成ソフトなど別の再生ソフトと置き換えても動作するような汎用性の高いアプケーションとして開発を行う。

 今回の開発の対象は大別すると以下の2つの機能を備えたアプリケーションである。
  [WEB変換]
  [ユーザーモデル構築]

 テレビ型Web試聴システムにおいては任意のコンテンツを番組化する事が目標であった。しかし番組化されたコンテンツがユーザの要望に一致しているかの適合性フィードバックの必要性が浮かび上がってきた。
 本提案では、最初にサイトを要約した番組表のような情報を提示し、ユーザー選択したサイトを番組化する。さらに、再生中はリモコンによってユーザーは「停止」「早送り」「巻き戻し」などの操作を可能とする。
 システムは上記のユーザーの番組の選択・再生中の操作の2つの履歴をとり、そこからユーザーモデルを構築する。ユーザーモデルから提示されたユーザーの嗜好、適切な情報の量を考慮してWEB変換プログラムが、より適切な形にWEBを変換する。

 上記の2つの処理によって、使えば使うほど、より適切な再生内容を提示してくれるようなWeb視聴システムを提案する。

8.採択理由

受動的なWeb視聴を可能にするシステムを発展させ、個人の好みに適合させたコンテンツの自動生成および視聴中の利用者の操作情報に基づいた利用者の嗜好等の抽出とシステムへのフィードバックを実現するシステムの提案。利用者はこのシステムを使い込んでいくうちに自動的に自分の好みのWeb番組を視聴することが可能になる。

本提案は昨年度未踏プロジェクトに採択された2名によって提案されたものである。この2名は昨年度それぞれ独立した異なるテーマで採択されており、いずれも十分な成果を残した。今回、この2名がチームを組んで新たなテーマに取り組むことによって、このプロジェクトの新たな可能性が開かれていくのではないかと期待される。また、テーマ自体は昨年度の他の未踏プロジェクトのテーマに刺激を受けそれを発展させた提案となっており、未踏プロジェクト内で様々なプロジェクトが有機的に関連し発展していく可能性として非常に興味深い。

本提案はこれまで行われてきたプロジェクトの成果を基盤技術として利用し、より実用性の高い具体的なアプリケーションを構築することを目標としている。
これまでのプロジェクトの成果および提案者の技術力を考慮すると、十分実用的なシステムを構築することは可能であると考えている。

9.成果

本テーマは、昨年度それぞれ独立したテーマで採択された荒牧氏、本村氏の二名が組み、新たに応募してきたという興味深いものである。また、テーマの核となるアイディアには同様に昨年度未踏で採択された灘本氏のテーマが用いられている。昨年度の未踏プロジェクトの結果の一つの発展例と考えることができる。昨年度の未踏では、1月にシリコンバレーへの調査旅行を行った。このようなイベントを通じて採択者間での交流が深まり、今回のような提案が実現した。未踏を通じて新たなコラボレーションが発生したことは意義深いことと考えている。

本テーマは昨年度の三つの未踏の採択テーマを融合、発展させたものとなっている。受動的WWW視聴システムをより発展させるため、ユーザモデルに基づく情報検索モジュールとWeb変換モジュールを開発し、視聴者の好みに応じたWeb情報を簡単に視聴できるようなシステムを実現することが目的となっている。Web変換モジュールでは、WWWページから必要な情報のみを抽出し、さらに内容を三種類(詳細化、要約、会話調にする)に変換する機能が実現された。これによって既存のWWWページの情報をTV番組化しやすい内容に変換することができている。ユーザモデルモジュールでは、各放送コンテンツについての特徴ベクトル、コンテンツを参照したときのユーザの反応、ユーザの特徴量に基づきベイジアンネットを利用してユーザモデルを構築している。
   
10.評価

提案されたシステムは荒牧氏の企画力やプログラム力、本村氏の理論といったそれぞれの特徴がよく出ているものとなっている。各モジュールの設計もそれぞれの得意分野を生かしたものとなっており、有用性は高いものとなっていると思われる。個々の機能を統合し、システムとして完成すれば実用性の高い、面白いものになると思われる。