平成13年度未踏ソフトウェア創造事業


採択案件評価書

1.担当PM  10.松島 克守
2.採択者氏名  金指 文明 (有限会社カラビナシステムズ 取締役)
 水野 業介 (有限会社カラビナシステムズ 取締役)
 石川 貴士 (有限会社カラビナシステムズ)
 小森 聡   (有限会社カラビナシステムズ)
 谷沢 智史 (静岡大学 情報学部生) 
3.プロジェクト実施管理組織  ネイチャー・ランド・ジャパン 株式会社 
4.委託金支払額  8,000,000円
5.テーマ名  <資源適応型アプリケーション統合開発環境の提案>
6.関連Webサイトへのリンク  
7.テーマ概要

本提案の目標は「どこでも同じサービスを」という言葉を実現することである.どのような場所でも,どのような端末であっても,同様のサービスを提供でき,更にサービスを提供する側にとっても,開発コストを極力押させることができる方法を実現する.

本提案の独創的アイデアは以下の点であると考える.
 1. どこでも「同じ」サービスが利用可能(どんな端末でも,その端末に合わせた最高のシステムを提供可能.)
 2. いつでも最新のサービスが利用可能:コンポーネント配信システムにより,コンポーネントの最新情報,および動作実績を調査.コンポーネント指向開発に効果を発揮

現状ではインターネットブラウザがあれば,WEBアプリケーションのサービスを受けることができる.しかし,WEBアプリケーションは,HTMLによる画面作成が主であるため,スタンドアロンアプリケーション(MS-Wordなどのデスクトップアプリケーション)のような完成度の高い画面構成を実現するのは非常に難しい.もちろんJavaなどを利用することにより,完成度の高い画面を実装することができるが,各端末用にJavaプログラムを作りこむ必要があるため,サービスを提供するためには,大きなコストが生じる.場合によっては,動作を想定している端末全てについての作りこみが必要となる.しかし,本文書で提案するシステムを利用することにより,端末ごとに異なる処理を記述しなくても,一つのアプリケーション記述により,各端末(または異なった資源)にあわせたアプリケーションを実現することが可能となる.

8.採択理由

テーマとして必ずしも新規性が高いとはいえないが、その実装のアイデアには技術的な新規性がある。また、対象となる技術は、今後その必要性が高まるものと予想され、ビジネス可能性は十分にある。すでに基礎的な技術の蓄積はあり、その実現可能性も高いと判断した。
 
9.開発目標

(1)プロトタイプ・システムの開発
  ・アプリケーションサーバ(アブザイラ[Abseiler])
  ・ビジネスコンテナ(スピンドル[Spindle Server Edition])
  ・アプリケーション実行環境(スピンドル[Spindle Client Edition])
  ・部品配信サーバ(ベッセル[Vessel])
(2)成果報告書
   
10.成果

上記開発目標をすべて達成し、必要な成果物受領の報告を受けている。    
 
11.プロジェクト評価

 携帯電話やPDAの高機能化に加え、情報家電の普及など、アプリケーション・プラットフォームの多様化は、時代の趨勢である。同時に、それら個々のプラットフォームにあわせたアプリケーション・システムの開発が必要であり、その開発負担、ならびにそれにともなうメンテナンス工数も劇的に増大することとなる。その結果、製品コストの上昇や機能的イノベーションの阻害といった弊害を生み出すことにもなりかねない。本提案は、このような課題に対する、ひとつの解決策を提示しようとする試みである。

 本システムは、つまるところ「Service Anywhere.」ということばを実現することにある。どのような場所でも、どのような端末であっても、同じサービスならば、端末に合わせて最大のサービスを提供できる情報システムを提供するための手段を構築することである。

 具体的には、アプリケーション・システムを、ロジックを構成する部分(XAD)と各端末の資源情報を持つ部分(XRD)に分離し、これらを必要に応じて組み合わせることで実現する。その結果、
・1つのアプリケーション(XAD)を実装すると同時に資源に特化したコンポーネント(XRD)が存在すれば,その資源を持つ端末のアプリケーションも同時に構築することになる。
・運用時のアプリケーション管理が容易となる.

 本システムは,システムを配信するときに資源状況などから判断して必要となるコンポーネントをダウンロードする。このメカニズムを応用することで,アプリケーション構成部品のバージョンアップをアプリケーション稼動状況のもとで、タイナミックかつタイムリーに実行することができる。

 従って、システム開発の効率を著しく向上させるとともに、メンテナンス・フエーズにおいても、システムが自律的に必要となる最新モジュールを、稼動状況の下で取り込むことで、システムの可用性を著しく高めるとともに、コスト削減をも可能とする。

 アプリケーション・プラットフォームがますます多様になる一方で、ネットワーク環境の整備が劇的に進展している。このような状況の下で、本提案にあるようなアプリケーション稼働環境は、間違えなく現実的なものとなるであろう。本システムは、そのソリューションとして単なる構想としてではなく、「具体的に実装された技術」の提案として、大変大きな意味を持つ。今後実際の業務環境において実用に供することで、その完成度を増すこと期待したい。
 
12.今後の課題

今後の課題として以下の問題に取り組むことが必要であろう。

・コンポーネントウェア配信技術の確立:
 本システムは結果的に,コンポーネントを利用した従来からある開発方法を応用している.しかし,従来方法は,あくまでコンポーネントの設計,実装方法に着目した研究成果が主である.本システムでは,コンポーネントを配信して利用することに注目することで,コンポーネントの流通を活発化させるねらいがある.しかし,現状では,あくまでコンポーネントのインフラを実現したに過ぎず,実際のシステム実装および保守に耐えうるのかという評価ついては着手していない.

・実業務稼働環境での実証的評価:
 コア・テクノロジーの実装においては、一定の完成度を得たものと評価している。しかし、実業務稼働環境においては、あらかじめ想定し得ない事態も十分に予想される。そこで次の課題として、このような事態を見極め例外的な事象に対しても確実に対応できる実証実験を行う必要があるだろう。