平成13年度未踏ソフトウェア創造事業


採択案件評価書

1.担当PM  1.大黒 晶議
2.採択者氏名  飯塚 豊 (株式会社エアフロント 代表)
3.プロジェクト実施管理組織  株式会社エアフロント
4.委託金支払額  33,868,000円
5.テーマ名  <パーソナルサイズのマルチエージェント統合環境 airWeb >
6.関連Webサイトへのリンク  http://www.airclub.org/
7.テーマ概要

 現在のWWWブラウザにおけるインターネットの回遊は、広大な敷地の本屋の中で目的の本や雑誌、さらにその中の特定のページを見つける作業に似ています。目的の情報にたどり着くまで、一冊一冊手に取ってページをめくり、毎週、あるいは毎月注目している記事を読んでいきます。興味のありそうな雑誌を見つけたら再び探さなくてもいいように位置を覚えたり、手に持ったり、カゴに入れたりします。好きな本や雑誌が置いてあるエリアは、再びすぐ来られるように場所を覚えておきます。これが現在のWWWブラウザにおける「ブックマーク」の役割です。

 また「ブックマーク」に付属する「購読機能」は、広大な本屋の敷地内に新刊が出たり、改訂版が出たという表示を示してくれるにすぎません。結局、私たちはその場所に行かなくてはならず、たった一冊の本、改訂された1ページを求めて何度も店内を自分で行き来します。

 それでは店頭に、お客さん専用の本や記事を集めてきてくれる「専門家(エージェント)」がいたらどうでしょう。お客さんはまず自分の目的にあったエージェントを選びます。彼はお客さんの要望を知っており、店内を巡り、指示された本や雑誌のページを集めてきます。以前に来たときのことも覚えてくれているので、過去の記録から新規の出版物や改訂されたページだけを切り取って持ってきます。お客さんはただ待っていればいいのです。

 私が開発している「airWeb」と「エージェント」は、こうした「ネットユーザとWWWコンテンツとの新しい関係」を、特別なプロトコルではなくすでにあるWWW上で実現します。

 airWebは単体のソフトウェアではなく、エージェントの流通市場としてのairClubサーバや、あるいは個別のエージェントとの共同作業によってネットワーク上で成長を続けます。ユーザはTPOに合わせて必要なエージェントを雇い、自分の見やすい形で情報をまとめたり発信ができるようになります。

 airWebプロジェクトは、エージェントを実行する母体であるairWeb、エージェント開発環境ASDK、エージェントを流通させユーザにコミュニティを提供するairClubサーバ、そしてユーザに新しい操作環境を提供する各種エージェントの4つのパートを平行して進めます。

 本年度は平成12年度の未踏ソフトウェア創造事業の成果をさらに発展させ、セキュリティ機能の向上や、サーバの大幅な強化、キラーエージェントの開発、対応プロトコルの拡大、携帯端末との連携、ユーザインタフェースの一層の向上など、エージェント環境をより広いユーザに知って使ってもらい、競争力のあるプラットフォームに育てあげ、事業化を可能とすることを目的とします。

8.採択理由

昨年度からの継続案件。
インターネットの利用環境は、今日も目覚しい発展を遂げています。回線の高速化、ホームページの増大。情報量が飛躍的に伸びています。その情報をうまく活用している人もいれば活用できていない人もいます。これからのネットワーク社会で重要なのは、活用できていない人が活用できるようになることだと思われます。
  
今回の提案におけるエージェントとは、ネット活用上級者のノウハウを初心者でも利用できるようにした技術です。昨年1年間で、プロトタイプが出来上がり、エージェントとはどういうものなのか、完成しました。それに伴い判明したのが、セキュリティとサーバーの問題です。特にサーバーは、初心者がエージェントを使う際、メンテナンスに気を使うことなく利用できることを可能にしたメンテンスサーバーの役割を持っています。また、エージェントの情報を提供し、ネットを活用する上級者から初心者まで集う市場のような、あるいは共同体の中心のような役割を持っています。

このように、サーバーが重要になりますが、現状ではあまりに貧弱であり、この強化を今年度行うことを予定しています。
 
9.成果

本プロジェクトは、平成12年度の未踏ソフトプロジェクトを継続している。平成12年度において実現した誰でも簡単に情報収集するツールを、実用化、事業化するために、弱点であった、セキュリティ、サーバの問題点を克服し、より使い勝手を向上させるためにプロジェクトにあたった。

セキュリティ、サーバを強化した点として、エージェント配布用サーバに専用のサーバを用意し、安全なエージェント配布を可能にした。配布サーバでエージェントをチェックすることにより、エージェントの改竄等を防ぐことを可能とした。配布サーバ設置により、エージェントをユーザーが探しやすくすることもできた。

使い勝手の向上として、ユーザーインターフェースの改善により操作性が向上した。予約機能のインターフェースを整備することで自動処理を向上した。

また、キラーエージェントの開発も進んだことで使い勝手が向上した。具体的には37種類もの掲示板に対応し自動巡回するAutoboard汎用掲示板エージェント。地方紙のニュースキャストや株価速報も収集できるヘッドライン型ページ収集エージェントがあげられる。
 
10.プロジェクト評価

開発者の努力により、ほぼ開発目標に到達した成果が得られた。

今までのインターネットの情報収集の自動化と比べ、必要な情報を抽出、仕分けまでできる点で、よりインテリジェントな情報収集ツールと言える。本年度の成果により実用化の問題点とされていた、弱いサーバ、キラーコンテンツ不足が大きく改善された。開発者の努力により、市場にでる日も近く、未踏プロジェクト発のソフトとして実社会にインパクトを与えられると思われる。
   
11.今後の課題

引き続きキラーコンテンツ開発が進められること。誰でも情報収集するエージェントを作れるようにすることだと思います。