下記、開発者およびグループ(敬称略)は、優れた開発成果を残し、担当プロジェクト・マネージャー(PM)から「天才プログラマー/スーパークリエータ」との評価を得ました。

平成13年度


(1)飯塚 豊 (株式会社エアフロント 代表)
 テーマ名  パーソナルサイズのマルチエージェント統合環境 airWeb
 大黒 晶議PMからの評価  インターネットの上級者が得ている情報は、ある程度インターネットを歩き回らないと、同じような情報を手に入れることができない。飯塚氏は、全くの初心者であっても、上級者が得ているような話題の情報を、瞬時に収集することを可能とした。
 画期的な開発といえるので、飯塚氏をスーパークリエータと呼びたい。
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(2)桜井 雅史 (九州大学大学院理学研究科 博士課程)
 テーマ名  可視化・擬似体験教材作成システム
 上林 弥彦PMからの評価  桜井氏は非常にプログラムの開発能力が高く、Java、XMLといった技術にも精通している。また、理科系の学問の教育を魅力的なものにしたいという意欲を持っており、今回のテーマは本人の持ち味が十分に出せたものではないかと思われる。
 作成されたソフトウェアについても、JavaやXMLの十分な理解に基づいて開発されており、ソフトウェア技術者の観点から見ても高水準なものになっていると思われる。今回開発されたソフトウェアはGPLに基づいて公開される。これによって、非常に有用なソフトウェアを広く社会に提供することができると考えている。
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(3)荒牧 英治 (京都大学大学院 情報学研究科 修士課程)
   本村 陽一 (独立行政法人 産業技術総合研究所 情報処理研究部門)
 テーマ名  パーソナライズドインターネット視聴システム
 上林 弥彦PMからの評価  提案されたシステムは荒牧氏の企画力やプログラム力、本村氏の理論といったそれぞれの特徴がよく出ているものとなっている。各モジュールの設計もそれぞれの得意分野を生かしたものとなっており、有用性は高いものとなっていると思われる。個々の機能を統合し、システムとして完成すれば実用性の高い、面白いものになると思われる。
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(4)木村 健一郎 (九州大学大学院 システム情報科学府 博士課程)
 テーマ名  移動通信体等の情報配信による危機管理システムプロトの構築
 上林 弥彦PMからの評価  本テーマは最も実用化が進んだプロジェクトであり、そのスピードは思いのほか早く、当初の予定以上に商品化のための作業が進むこととなった。ソフトウェアシステムとしてはシンプルな構成であるが、このように実際の場面での応用を進めることによって新たな問題点や課題などが発見され、共同研究の話なども出始めてきている。未踏の成果が分かりやすい形で社会に浸透していった例として、本テーマは興味深い結果となったと考えている。
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(5)五十嵐 健夫 (東京大学 ポストドクター)
 テーマ名  初心者による3次元アニメーションの構築と利用のためのインタフェース
 竹内 郁雄PMからの評価  このプロジェクトはまさに「百聞は一見にしかず」そのものであった.例えば,Squirrelはいくら絵入りの文書で説明されても,なかなか理解できなかったのだが,デモを一発見るだけで,その発想の本質的な面白さがただちに理解できた.
 この短期間にこれだけの成果が上がるというのはちょっと驚異であるが,いずれも突然天から降って湧いたものではない.これまでの五十嵐さんの研究の中で熟成されてきたものである.五十嵐さんと話をしていてすぐわかることだが,彼の研究の目的と方法論には実にしっかりした筋が通っている.目的は「まったくの初心者でも取り扱えるような3次元CG・アニメーションの構築・利用環境を実現すること」であり,方法論は,思いついたアイデアをごく短期間で (彼の場合,Javaで) プロトタイピングして,すぐデモとして見せられるまでのレベルにしてしまうというものである.後者は,第一線の研究者たるべき者の足の速さを意味している.学界の競争の中で勝つために,若いうちに次々と湧くアイデアを貪り食うというこの姿勢は傍で見ていても気持がよい.
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(6)和田 健之介 (有限会社アントラッド 取締役)
 テーマ名  双方向通信型3Dワールドシミュレーター(3D−NeWSプロジェクト)
 竹内 郁雄PMからの評価  ネットワーク上で仮想世界や仮想現実の散策を楽しむといったソフトはいくつもあるが,その完成度の高さがわずか数人の合宿を通じて月代りで上がっていくというのは,こういったソフト開発を日常的に激しく行っているゲームソフト業界の人々も驚くのではなかろうか。このプロジェクトの成果の凄さは,簡易なわりにリアリティの高い物理シミュレーション,オブジェクトに対するスクリプト,自律エージェントの仮想センサー・知能エンジン・進化エンジン,さらにはネットワーク経由で複雑な仮想世界を共有するための通信制御が,それらとうまく融合していることである.これがこの3D世界にとって鬼に金棒であり,世界の深みを一挙に増している.このような統合ソフトは世界に類例がないとPMは信じている.このプロジェクトのPMをやらせてもらって本当に得をしたとお礼を述べたいくらいである.
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(7)高橋 大介 (筑波大学 電子・情報工学系 計算物理学研究センター講師)
 テーマ名  高速化した計算機システムにおける高速フーリエ変換ソフトウェア
 平木 敬PMからの評価  数値計算にとり、最も基本であり、広く使われる操作について、汎用性、性能ともに未踏領域のソフトウェア開発に成功した。これは、基本原理に対する理解、想像力と、プログラム開発での創造力が揃ってはじめて実現することであり、我が国が誇れるソフトウェアとして育つ可能性を持っているため。
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(8)梅村 恭司  (豊橋技術科学大学 助教授)
 テーマ名  未踏テキスト用シソーラスの自動構築システムの開発
 松島 克守PMからの評価  いままで「常識とされていた技術の限界」に対して果敢に挑戦し、それを独自の創意工夫により新たな技術の革新をもたらしたことの意義は大きい。いままで不可能とされていた適用分野においても新たな事業展開の可能性が期待される。
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(9)金指 文明 (有限会社カラビナシステムズ 取締役)
 テーマ名  資源適応型アプリケーション統合開発環境の提案
 松島 克守PMからの評価  時代の要請に的確に応えたテーマの選定とそれを独自の技術的工夫により実現した才能は賞賛に値する。また、既存の技術的枠組みの常識に対しても果敢にチャレンジしたことは、将来の新たな可能性をも期待される。金指氏個人というよりも、そのチームの成果として評価したい。
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(10)奥富 秀俊 (東芝情報システム株式会社 デジタルネットワーク・ソリューション事業部)
 テーマ名  カオス暗号+認証方式での認証局提案とコンテンツ配信・購買応用
 松島 克守PMからの評価  カオス暗号における常識とされていた技術的限界に対して、自らの創意工夫により大きな革新をもたらしたことは賞賛に値する。いままで、カオス暗号の概念的可能性は高く評価されつつも、その実用化のボトルネックを解消する可能性を示すものでもあり、その社会的意義も大きい。
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(11)田畑 悠介 (京都大学大学院 情報学研究科 修士課程)
    高井 幸輔 (京都大学大学院 情報学研究科 修士課程)
    鵜川 始陽 (京都大学大学院 情報学研究科 修士課程)
    信岡 孝佳 (株式会社トランス・ニュー・テクノロジー)
 テーマ名  GNU/Linuxなどにおける、よりよい日本語環境の実現
 新部 裕PMからの評価  (新部 PM が採用した)日本を代表するようなフリーソフトウェアの開発者と比した場合, 技術力は決して高いとは言えない。プログラミングの実力に関しては, 稚拙と見える点もあり, これから精進し習得しなければいけない知識や技芸がたくさんある。このような短所はあるが, プロジェクトは当初の目標を実現し, 成果をフリーソフトウェアとして公開することができた。現時点で一般の使用に耐える有用なソフトウェアとしてまとめたことは, プロジェクト遂行能力の高さを示している。チームを組んで, いくつかのプログラム開発を並行して進め, 最新のフリーソフトウェアの技術を取り込み, モダンなソフトウェアとして日本語入力システムを構築したことは, フリーソフトウェアとしての日本語環境の開発, ひいては日本のソフトウェア開発全般に喝を入れたと言える。オープンな開発を志し,いくつものリリースを実現できたことも素晴らしい。ソフトウェアの国際競争力に関する考え方が的確であり, それに対して, 率先して自らが問題に取り組むという姿勢が良い。知識が足りないからといって, 引っ込んでしまうことなく, 物怖じせずソフトウェア開発を進める点について高く評価できる。早い段階から開発版をリリースし, 利用者を含めた開発体制を指向したこと, オープンな環境での開発の競争相手を望んだこと, 地道に利用者の拡大に努めたことなども評価できる。フリーソフトウェアに関する国際競争人間力を備えた開発チームである。たゆまぬ開発の持続, 開放型の開発へのさらなる挑戦と躍進が期待されるところである。
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平成12年度


(1)飯塚 豊 (有限会社スーパーストリング 代表)
 テーマ名  パーソナルサイズのマルチエージェント統合環境AirWeb   
 大黒 晶議PMからの評価  AirWebはインタネットの主要なサイトから、情報を抽出する機能を有している。従ってAirWebがあれば以下のメリットがある。
 1.ビギナーでも主要サイトがわかり、上級者と同じ情報を得ることが出来る。
 2.主要サイトは30以上にも及び、主にテキストに集約され、規格化された形式で保存されるため、すばやく情報に目を通すことが出来る。
 3.情報はニュースだけでなく、オークション情報、掲示板情報、アーカイバの最新データといったインターネットならではの情報の収集も出来る。

 これらにより、ビギナーは上級者と同じ、情報を手にすることが出来、上級者は効率的に情報を取得することが出来る。
 ビギナーから上級者まで情報収集自動化機械化のメリットを得ることが出来るソフトである。
 現在情報収集を自動化するソフトはあまりない。あっても画像を収集するぐらいな能力しかない。
 文字情報を抽出し集約することが出来るのはAirWebぐらいなものと思われる。
 抽出された情報を見るとき、特別な知識や見づらさがなく、ビギナーでも容易に見ることが出来る点がAirWebのすばらしさと思える。
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(2)新津 靖 (東京電機大学 工学部機械工学科 教授)
 テーマ名  教育用3次元ソリッドモデラーの開発
 大黒 晶議PMからの評価  3次元ソリッドCADは、ユーザーが限られ、ほとんど米国製で、100万円以上するソフトばかりである。
 3次元CADは2次元CADと違い、使い方が独特でコツを掴む必要がある。
 新津氏の教育用3次元ソリッドモデラーは、難しいと言われる3次元CADのコツを理解させることが出来る。氏の教えられる大学では、上記ソフトが2年の教養過程に置いて使用され、3次元CADの考え方を学ぶことで、3年次の本格的なCADの学習の際大きな効果をあげている。
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(3)銭谷 謙吾 (京都大学 学生)
 テーマ名  プラットフォーム非依存な汎用ネットワークエージェントシステム
 上林 弥彦PMからの評価  独学ではあるが知識も広くプログラム能力も高い。
 マスコミにもてはやされたため構想が大きくなりすぎて完成に至らなかったが現在も開発中である。
 非常に個性的な人間であるため、特色をこわさないような配慮が必要である。
 友人が彼のシステムの上に応用システムを作る予定にしていたが、レベルが違いすぎて応用システムはあきらめざるをえなかった。
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(4)守岡 知彦 (京都大学 人文科学研究所付属漢字情報研究センター 助手)
 テーマ名  GNU Emacsenにおける複数のMUAで共有可能なInternet Messageのための汎用部品の開発
 上林 弥彦PMからの評価  このグループははじめから完成したスーパークリエータである。フリーソフトの開発を手がけてきたグループであるために支援したもので、ソフトの整備に資金援助をした形になっている。代表の守岡知彦氏はもちろん、協力者の宮下尚氏(京大理学部大学院生)もそのタイプである。さらにグループとしては、 Martin Buchholz氏やSandy Wambold女史もいて、非常に個性的なグループであった。
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(5)荒牧 英治 (京都大学大学院 修士課程)
 テーマ名  自然言語パートを含む暗意−実現モデルによる自動作曲システム
 上林 弥彦PMからの評価  テーマも独自で結構完成した。
 できた曲も自然である。
 個性的でプログラム能力も極めて高いので期待している。
 開発成果評価書  


(6)小藤 哲彦 (電気通信大学電気通信学研究科 修士課程)
 テーマ名  大規模災害救助の分散シミュレーションカーネルの開発
 竹内 郁雄PMからの評価  一見地味な性格であるが, プログラミング能力 (スピード, 質) の高さにおいては, 私が採択した中では最右翼である.
 私の研究室の学生であるが, 彼に匹敵するような学生は滅多に現れないであろう.未踏での成果は来年度あたりに国際プロジェクトRoboCup-Rescueで使われるようになるはずである(学部4年のときに作った第0版はすでに国際的に使われている).
 私自身まだ深さを推し量れていないほどの潜在能力が, 彼にはあると思われる.
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(7)和田 健之介 (元株式会社ATR人間情報通信研究所、(資)コムフレックス)
 テーマ名  双方向型ネットワーク対応仮想空間共同構築システム
 竹内 郁雄PMからの評価  PMの期待を裏切りっぱなしと言えるほどの猛烈な創造性を発揮した.
 和田さん自身は天才というよりむしろ秀才に近いタイプと思えるが, 仲間として呼び集めた連中との共同作業において天才的な創造性を発揮できたものと考えられる.
 ソフト作りやアイデア作りに没頭する集中力, それを裏付ける基礎理論の体力 (学力?),さすらいのプログラマといった風情の仲間たちを統率して, 彼らから面白いものを引き出しては,形に仕上げていく能力, どれをとっても一流である.
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(8)近藤 克彦  (株式会社タクミ 代表)
 テーマ名  知識蓄積型推論データベースの開発、応用
 長谷川正治PMからの評価  知識蓄積型推論データベース(シノプシス型データベースエンジン)は、既存のデータベースエンジンとは全く異なる発想で設計/実装されており、その発想は、非常に独創的である。また、短期間でプロトタイプまで完成させることができたのは、彼の卓越した技術力と才能に大きく依存している。
 この極めてユニークな特徴をもつデータベースおよび検索エンジンの応用例としては、インターネットの検索エンジンや書籍データベース等々、数多く存在すると思われ、ビジネスへの展開も期待できる。
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(9)奥富 秀俊 (東芝情報システム株式会社)
 テーマ名  カオス現象を応用し複合的機能を備えた新暗号アルゴリズムの開発
 長谷川正治PMからの評価  カオス現象を応用した暗号アーキテクチャーの開発において、従来その実用化を困難なものにしていた浮動少数点演算に関わるさまざまな問題を、整数演算、ビット演算のみで実現する手法により解決するという斬新なアプローチは高く評価できる。
 彼の才能なくしては、極めて斬新的な暗号/認証アルゴリズムのベースを短期間で完成させることは不可能であった。新しい暗号/認証アーキテクチャーは非常に需要の高い重要な技術であり、このカオス現象を応用した新暗号プログラムは、その有力な候補であることは間違いない。
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(10)高橋 大介 (埼玉大学大学院理工学研究科 助手)
 テーマ名  高速化した計算機システムにおける高速フーリエ変換ソフトウェア
 平木 敬PMからの評価  FFTという非常に多くの人が取り組み、高速化を図ってきた分野で、最高の性能を達成するということは、スーパークリエータの名前に恥じないものであることは確かである。
 天才かどうかということに関しては、高橋さんが非常な努力家であり、それが創造に結び付いていることを考えると、むしろ軽々しい名称と感じます。
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(11)阿部 一博 (日本無線株式会社)
 テーマ名  未知のノードを含むネットワーク分散協調演算処理システム
 松島 克守PMからの評価  インターネットという極めて不確実なインフラと分散協調処理を組み合わせるというアイデアは、それ自身必ずしも斬新なものとは言えない。しかし、その取り組みはまだまだ緒に就いたばかりであり、完成されたものは存在しない。このような状況にあって、当システムは、その独自の着想とそれに基づく斬新なアルゴリズムを基盤に、この分野に新しい挑戦を仕掛けたものとして評価できる。
 開発内容は、開発者自身の職業とは関係なく、自らの興味と情熱により取り組んだものであり、「未踏」がそのような可能性に対してチャンスを与えた一例としても大変評価に値する。
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(12)梅村 恭司 (豊橋技術科学大学 情報工学系 助教授)
 テーマ名  未踏テキスト情報中のキーワードの自動抽出システム
 松島 克守PMからの評価  日本語だけではなく、多言語に対応可能な当システムは、言語処理の重要性がますます高まるであろう今後のIT分野に於いて、基礎的な技術となるものである。
 同等の技術は、確かに他にもあるが、当システムにより実用に供する処理速度並びに精度を実現した成果は、画期的なものであり、これを実現するアルゴリズムの独創性は、「未踏」として十分評価に値する。
 当システムは、大変汎用性の高い技術である。しかし、一般には興味をもたれにくいテーマであり、なかなか評価されることがない。このようなテーマに対して「未踏」プロジェクトが世間に出すきっかけを提供することの意義は大変に大きいものと思います。
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Last updated Jun 10 2002,

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