平成12年度未踏ソフトウェア創造事業
採択案件評価書
| 1.担当PM | 7.西岡 郁夫 |
| 2.採択者氏名 | 清水 洋三 (清水事務所(自営) |
| 3.プロジェクト実施管理組織 | 株式会社エー・エス・ピー |
| 4.委託金支払額 | 4,976,895円 |
| 5.テーマ名 | パトロンオークションによるバーチュアル美術館 |
| 6.関連Webサイトへのリンク | http://personal.adsp.or.jp/vmpr/ver3/index.htm |
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7.テーマ概要 インターネットによる経済的効果を追求せず、インターネットの持つ文化的な特質を活かしたサービスとして、インターネット上にバーチャル・ミュージアムを構築し、ネット上のオークションを用いてバーチャル・パトロン・システムを提供する提案である。バーチャル・パトロンは、自らがパトロンとなるデジタル・コンテンツに対するスポンサー料を支払い、ページ上にバナーを得る。得られた利益は現実の文化財保護のために費やされる。インターネットで可能な、もう一つの社会貢献を実現する。本Webサービスに最適のコンテンツとして、まず中国の敦煌および大同などに存在する壁画を選択し、筆者の人脈に国の援助を得てコンテンツの作成と一般への文化的情報提供を達成しようとするもの。 |
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8.採択理由 経済効果ばかりを追求するEコマースなどの開発競争の中で、本提案はインターネットの持つ文化的な特性を活かして「インターネット上にバーチュアル・ミュージアムを構築し、ネット上のオークション・システムの仕組みを用いてバーチャアル・パトロン・システムを実現しよう」とするものである。このサービスに最も適したコンテンツとしては、たとえば中国の敦厚の壁画を挙げ、システムの運用で得た利益はこれら文化財の保護基金に当てるという。文化的なコンテンツを多用するインターネットがこれらコンテンツを提供する文化遺産の保護に当てる基金を生み出す発想は貴重である。商売ばかりに走るインターネットの世界で本提案に賛同する人たちは多いことであろう。実際に如何に世界各地の文化遺産をデジタル化するかについては、たとえば中国側の協力を如何に得るかという実際上の難しさがあるだろうが、提案者は自身の広い人脈を活用してこの問題を解決しようとしている。本提案はその仕組みの確立を目指そうとするものであり、ユニークなテーマとして支持したい。 |
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9.開発評価 文化財の紹介と保護をテーマとして進めてきた当プロジェクトでは、中国敦煌莫高窟の撮影データを用いたプロトタイプの開発を行い、短期間に当初の目標以上の成果を上げたと評価できる。 まず、このプロトタイプのミュージアム部分では、複数の菩薩像を題材として、目や手などの拡大表示や、菩薩像間の比較などを行う機能を試作した。 検索機能やレストレーション情報の提供など、将来の実用化に向けて必要となるシステムの基本部を開発し、検証した。 また、オークション部分ではオークション・リストの表示や、オークション会場での入札など、一連の処理に関する試作を行った。 開発したプロトタイプは、Virtual MuseumとVirtual Auctionの二つの機能により構成されている。 このプロトタイプの目的は、XMLで定義されたデータを用いて、仏画像の検索や、復元図との比較、オークションでの入札までに至るプロセスなどを実証することである。 また、次の開発における指針を定めるための、検討材料の提供という役割も持つ。全てのデータはXMLで定義されている。 プロトタイプは以下のURLで公開されている。 URL : http://personal.adsp.or.jp/vmpr/ver3/index.htm 今回のプロトタイプ用に選択した敦煌莫高窟壁画の撮影データに関しては、敦煌芸術を研究する李承仙氏(注1)と常嘉煌氏(注2)の協力を得て調達することができたことは望外の成果であり、目標の一つである、仏教芸術紹介のために必要なXMLスキーマ定義に関しても、両氏の協力を得て進める目処が立った。常嘉煌氏と その母である李承仙氏との信頼関係を築けたことはこのプロジェクトの大きな収穫として上げられる。 (注1,2):李承仙氏は、敦煌莫高窟壁画の研究において第一人者であり、敦煌の守護神と呼ばれた故常書鴻氏の妻であり、息子である。常氏は、数百年前に途絶えてしまった石窟芸術を再開させるために、敦煌市郊外に新石窟を創る運動を主催する芸術家であり、新石窟とバーチャル・ミュージアムの両プロジェクトが出会ったことで、現実の文化財に対する支援と言う意味においても、敦煌をモデルとして推進する計画が現実味を帯びてきたといえる PMである西岡も常氏と2度に亘って会談し同氏の本プロジェクトへの並々ならぬ関心と協力の意気込みを感じた。 |
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