平成12年度未踏ソフトウェア創造事業
採択案件評価書
| 1.担当PM | 5.高田 広章 |
| 2.採択者氏名 | 飯尾 淳 (代表者) (株式会社三菱総合研究所) 比屋根 一雄, 谷田部 智之 |
| 3.プロジェクト実施管理組織 | (株)アーク情報システム |
| 4.委託金支払額 | 15,750,000円 |
| 5.テーマ名 | <組み込み用Linux向け動画像処理基盤ソフトの開発> |
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6.開発テーマの概要 この開発テーマでは、組込みシステムにおける動画像処理アプリケーションに対する要求が高まっていることを背景に、動画像処理技術開発の基礎となる汎用動画像処理ライブラリ MAlib の開発を行った。静止画像処理用のツールやライブラリにはオープンソース化されているものが多くある一方で、動画像処理用には手軽に利用できるライブラリがないのが現状で、今後の技術開発を進めていく上で、オープンな動画像処理ライブラリの存在意義は大きい。 具体的な開発の内容としては、まず、動画像処理ライブラリのフレームワークをオブジェクト指向ベースで設計し、それをC言語で実現するためのガイドラインを定義した。設計したフレームワークに従って、動画像入力や動画像処理を行うためのクラスライブラリ MAlib を開発した。MAlib は、今後の技術開発への利用を考え、Linux 上で動作するものとした。現時点ではパソコンをターゲットとしているが、組込みシステムへの適用も念頭において実装している。 設計したフレームワークは、1枚の画像を表すクラスである MalibFrame、複数の画像を保持するための MalibHolder、そのサブクラスで後段のフィルタと接続できる MalibBuffer、MalibHolder に画像を提供する MalibSource、そのサブクラスで画像の加工を行う MalibFilter、さらにそのサブクラスで複数の画像を入力として処理を行う MalibMerger などから構成される。また、それらすべてのスーパークラスとして MalibObject を定義し、リファレンスカウント方式によるメモリ管理機能を実現している。 さらに、MAlib の動作テストと有効性の確認、サンプルプログラムの提供を目的に、移動物体の認識を行うアプリケーションプログラムを作成した。アプリケーションプログラムにより、MAlib が動画像処理アプリケーションの開発に一定の有効性があることを示した。 |
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7.達成度と問題点 この開発テーマについても、実施計画書に盛り込まれた最低部分はほぼ実現できたと考えられ、短期間 (約5ヶ月間) の成果としては満足すべきものであるが、当初の提案に盛り込まれた課題がすべては実現できていない。その原因の一つは、開発期間が短期間であるにも関わらず、多くの課題を盛り込みすぎたことにある。ただし、このことは審査の段階からわかっており、開発予算を当初の申請額より大幅に減額した経緯がある。もう2〜3ヶ月の時間があれば、当初の提案に盛り込まれた内容をすべて実現可能であっただろう。 MAlib は C言語によって実装されている。その理由として C言語の汎用性が挙げられているが、オブジェクト指向のライブラリを C言語で実装しているために記述が複雑化している面が否定できない。MAlib を動画像処理技術開発のプラットフォームと位置付けるのであれば、C++ などのオブジェクト指向言語の使用を検討すべきであったと思われる。 |
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8.今後の展開 上記のような問題はあるものの、MAlib は、その狙い通り、動画像処理技術開発の基礎となる汎用ライブラリに発展する可能性を持っている。そのためには、今回の開発期間内に実現できなかった部分を完成させるとともに、ユーザを獲得していくことが必要である。 この開発テーマの開発成果は、すでに http://www.malib.net/ からソースコードの形で公開されている。現状ではソースコードのみの公開で、ドキュメント類が不足しているが、ユーザマニュアル等を整備して、広く使われるような努力を続けることが必要と思われる。 |
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