平成12年度未踏ソフトウェア創造事業


採択案件評価書

1.担当PM  3.倉重 英樹
2.採択者氏名  萩原 秀幸(有限会社ハギワラ・インフォメーション・テクノロジ・ラボラトリ)
3.プロジェクト実施管理組織  株式会社電脳商会
4.委託金支払額  35,465,000円
5.テーマ名  「統合型デジタル・ピクチャー作成支援“Kid’s Hatシステム”の開発」
6.関連Webサイトへのリンク
7.テーマ概要

BSデジタル放送の本格開始やインターネットのネットワーク放送により、益々デジタルコンテンツの需要が増大する。本システムは、それに対応するための、蓄積されたコンテンツソース資産をベースに、高品質なデジタルコンテンツを短時間に大量に作成支援する「コンテンツ作成支援システム」である。
8.採択理由

本ソフトウェアは、デジタル放送/インターネットの普及に伴うデジタルコンテンツ不足という背景から提案された、「大量かつ良質なデジタルコンテンツの制作を支援する」ソフトウェアである。コンテンツ作成支援システムには、近年注目を集めている新しい工学的理論をソフトウェアに組込む新しい試みがなされている。パラメータの設定内容やデータベースの内容によって、様々なコンテンツが大量に制作できる可能性を秘めており、未踏ソフトウェアに値すると考える。

 開発工程、要員体制、今期目標が具体的に明示されており、これまでの研究開発の実績からも、実現性は十分高いと考える。

 従来人力に頼っていた作業をシステム化し、既存コンテンツを再活用することで、制作者の生産性向上を目指しており、日本発の「大量かつ良質なデジタルコンテンツ作成モデル」を作ることでハリウッドを凌駕したいという心意気に、期待は高い。
9.開発評価



(総括)

約5ヶ月間という短期の開発期間にも関わらず、開発者の努力によってある一定の形が見えるまで仕上がった。当初の目標は概ね達成できたと言える。


・各サブシステムが完成し、各分野の専門家からの評価は概ね好評であった。

・各サブシステムに実装した複雑系理論は他分野のソフトウェアへの適用など多くの可能性がある。


(開発目標)


デジタル・ピクチャー・コンテンツの制作において、その生産性を従来の制作方式や技法に比べて100倍以上に高めることを可能とする複雑系理論を組み込んだ「統合型作成支援システム」の実現を最終目標とし、本年度は以下のサブシステムを開発することを目標とした。


■開発対象サブシステム

   ・シナリオ(ストーリー)作成支援システム

   ・原画(静止画)連携作成支援システム

   ・音楽効果(音楽/Sound Effect)作成支援システム

   ・アフレコ(音声)作成支援システム


■各サブシステムの機能

   ・制作条件指定機能

   ・リアクター内処理機能

   ・作成ソース編集・結合インタフェース機能

   ・データベース機能

   ・グラフィカルユーザインタフェース機能


(プロジェクト計画)





(成果物)


関連ドキュメント

   ・各サブシステムの要件定義・概要設計書

   ・各サブシステムの画面遷移図

   ・専門家へのインタビュー結果



(専門家による評価)



各サブシステムの有効性や実用性を判断するために関連する分野の専門家(クリエータとプロデューサ)に評価意見を求めた。

評価者Aの専門分野: TV番組、VTR等のシナリオライター、構成台本作家

評価者Bの専門分野: 写真カメラマン、ビデオの企画〜撮影〜編集、デジタルイメージクリエーティブ

評価者Cの専門分野: デジタル音楽作曲家、エレクトーン演奏家、音楽系専門学校講師

評価者Dの専門分野: 制作〜編集/クリエーティブの総合プロデューサ、ディレクター



◎:非常に良い、○:良い


(今後の課題)

■サブシステム間の連携

申請時点での目標であった「従来の制作方式と比較して大幅な生産性の向上」を実現するためには、各サブシステム間における入力条件などのインデックス値の連携機能を実装することが不可欠である。


■データ登録作業の標準化

データ登録の際に発生する登録者個人に依存する登録インデックス値の偏差を如何に最小化するかを検討する必要がある。今回のデータ登録時には偏差を抑えるため、限られた人数で膨大な量のインデックス値の登録を行った。

■データ登録・修正作業の簡素化

本システムは事前にデータベースに多くのデータが登録されていることが必要である。

システムの商用化にあたっては維持コストの削減も一つの重要な観点であるため、前述のデータ登録の
標準化と連携して登録・修正作業を簡素化することが必要である。



(まとめ)

短期間で4つのサブシステムが構築できたのはキーテクノロジである複雑系理論に対する開発者の実績と検索技法である感性表現言語の早期の標準化によるところが大きいと思われる。


システム的な視点から評価すると、前出の課題が残っているが、今回の開発・テスト環境(LAN)においては検索スピードなど実用に十分耐えうるものであった。

また、利用者の視点から評価しても機能面においては各分野の専門家から良い評価を得ている。

各サブシステムを統合した完成形である統合型システムの実現が期待される。


今後は単に機能を追加してソフトウェアとしての完成度を上げるだけでなく、システムの利用者やマーケットをより意識した開発・評価が必要であると考える。


本プロジェクトで実現した複雑系理論のソフトウェア適用は、他分野のソフトウェアへの適用を含めて、今後多くの可能性が秘められている。