平成12年度未踏ソフトウェア創造事業
採択案件評価書
| 1.担当PM | 3.倉重 英樹 |
| 2.採択者氏名 | 中川路 充 (フリー) |
| 3.プロジェクト実施管理組織 | プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント株式会社 |
| 4.委託金支払額 | 15,550,737円 |
| 5.テーマ名 | 「高性能XML文書データベースサーバの開発」 |
| 6.関連Webサイトへのリンク | |
|
7.テーマ概要 XML文書はEC分野を中心に、急速に活用されつつある技術であるが、市場では XML文書をそのまま格納する DBMS の選択肢はまだ少ない。本プロジェクトでは、XML文書DBMSのプロトタイプを開発し、アプリケーションの開発・運用のコストの低減を狙う。 |
|
|
8.採択理由 −提案されているXMLデータベースは、今後企業間、及び企業内システム間で広く利用されていく技術であり、着眼点として面白い。 −現在商用化されているものもeXcelonを代表に片手くらいしかないと思われ、十分製品化に値する。 また、欧米のソフトウェアが支配するDBMS分野に於ける日本発としての試みとして、その意気は非常に頼もしい。未踏ソフトウェアとしての条件を十分に満たすものであると考える。 −提案者の過去の経験も、今回の提案であるプロトタイプを完成させるには十分なものであると判断した。既存製品との優位性を図るために必要な性能の評価方法、パフォーマンスを向上させるためのキャッシング方法、ビジネス化の方法などには、多少の課題はあるものの、プロジェクトを実施していく中で、十分対処できるものであると考える。 −今回のプロトタイプでの見通しが立てば、現在Lotus社のNotesDBに代表される非定型の文書DBとしての応用も可能であり、期待度は高い。 |
|
|
9.開発評価 (総括) 約5ヶ月間という短期の開発期間にも関わらず、開発者の努力によってある一定の形が見えるまで仕上がった。当初の目標は概ね達成できたと言える。 ・限られた期間にたった2人の開発者で、XML-DBMSの主要機能を実現したことは高く評価できる。 ・事業化を視野に入れると、いくつか課題は残るものの、国産XML-DBMSの誕生が期待できる。 (開発目標&成果) あらゆる形式のデータを格納でき、様々なプロトコルでアクセスできる「ユニバーサルデータベース」を開発・提供することを最終目標とし、本年度は以下の項目を目的としたプロトタイプを開発した。 ■XML文書DBMSにおける基本機能の実現 ・DOMによるXML文書アクセス ・ビューをXML文書として参照 ・ビューの自動更新を行うトリガー機能 ■高いトランザクション処理の実現 ・エンタープライズユースに耐える性能(分速300トランザクション/300万円程度のサーバ機) ・商用RDBMSとの性能比較 ■障害発生時のトランザクション処理の一貫性を保証するための2相コミット機能の実現 (スケジュール) (進捗概要) 構築フェーズで発生した技術的課題の解決のために、約1ヶ月のスケジュールの遅れが発生した。 しかし、DBMSの基本機能の実現を最優先したスコープの変更を行って作業タスクを見直した。 その結果、期間内に評価可能なレベルの成果物を開発することができた。 ・性能評価項目をターンアラウンドタイム(TAT)およびスループットの2つに絞った。 ・2相コミットの検証は、デバッガや低レベルAPIによる内部動作確認レベルにとどめた。 (成果物) SQL Serverのサンプルアプリケーション「カレンダ」を利用して、そのTagStoreバージョンを作成した。性能測定の結果、本アプリケーションではマルチアクセス環境で毎分140件程度の処理能力があることが判明した。また、性能測定の過程で、処理速度のさらなる向上が可能となる改善ポイントが判明した。(本年度は未対応) カレンダアプリケーション 関連ドキュメントおよびツール ・データベース層 設計仕様書 ・プロトコルロジック層 ドキュメントインターフェース機能仕様書 ・障害耐性評価報告書 ・ストレステスト評価報告書 ・アプリケーション性能情報収集ツール一式 (今後の課題) ■さらなるパフォーマンスの向上 商用化レベルを視野に入れると、性能測定の過程で判明したいくつかのパフォーマンスチューニングを実施するなどして、より処理能力を高めることが必要である。また、性能測定用アプリケーションの機能や測定方法、評価方法も再検討して実施する必要がある。 ■障害対策機能 開発期間の制限から今回は2相コミット機能を実装できなかった。しかし、商用レベルのDBMSとしては障害発生時にトランザクション処理の一貫性を持たせるためにも2相コミットとその復旧機能は必要である。 (まとめ) 短期間かつ開発者が2人という厳しい条件にもかかわらず、XML-DBMSとしての基本機能は実現された。 開発者の高い技術力と本プロジェクトにかける情熱がうかがえる。 テーマ申請時には、本プロジェクト終了後、TagStoreの無料配布&トランザクション従量制によるサポート料金徴収というビジネスモデルによる事業化を検討する予定であった。しかし、本年度の開発結果からは、前述の課題を解決し、DBMSとしての実用性をさらに向上させる必要があると考える。 今後、商用DBMS市場では競合製品も増えてくると予想される。事実、テーマ申請時には日本ではXML-DBMSとしてはexcelon社の「ObjectStore」しか存在しなかったが、現在は「Tamino」も日本市場に進出している。 事業化を考えるとマーケットに対するスピードが非常に重要になるため、的を絞った開発が必要となる。 今回開発したTagStoreのプロトタイプをさらに発展させ、欧米のソフトウェアが支配するDBMS分野での、国産XML-DBMSプロダクトの実現を期待する。 |
|