平成12年度未踏ソフトウェア創造事業


採択案件評価書

1.担当PM  2.上林 弥彦
2.採択者氏名  荻野 哲男 (京都大学大学院生)
3.プロジェクト実施管理組織  財団法人京都高度技術研究所
4.委託金支払額  12,000,000円
5.テーマ名  「安全な電子商取引を目的としたデータベースの新しい認証法の設計」
6.関連Webサイトへのリンク
7.テーマ概要

インターネットを用いた電子商取引(EC)では、多くの個人情報や取引内容が、基本的にオープンなシステムであるインターネット上を流れることは避けられないものになるであろう。この背景を踏まえ、個人情報などを統一的に扱うために XML などの文書規格を用いて統合的なフォーマットの策定と、バイオメトロジーを応用してはいるが検証データが動的に変化することで高度のセキュリティを確保する手法を提案し、実際にそれらを開発することにより、ECを実用化する上での重要な問題の解決を試みる。
8.採択理由

■提案書の内容が具体性で実現性が高い

■本事業は個人の能力を重視して採択するものであり、提案者はスーパークリエータとしての素質がある

■この提案は文部省科学研究費やIPAの他のプロジェクトに提案するよりも本プロジェクトに適している。



(コメント)

本人は、昨年のACMプログラミングコンテストで日本第2位のチームを率いており、台湾での大会に出場している。日本第1位のチーム(世界第7位)を率いていた学生とは、京都大学の同じ学年であり能力的な差はないと考えているが、1大学1チームという制約があったため、世界大会には出場できなかった。ACMプログラミングコンテストは、プログラミング能力だけではなく問題理解能力やアルゴリズムの知識といった総合力を調べるもので、国を挙げて準備している国(旧共産圏やアジア諸国)が多い中で、特別な準備をしないで日本が成果を出している。出場チームのメンバーは、総合力があるので、プログラミング能力だけの高いクリエータよりは将来性が高い。内容については指導の必要があるが、スーパークリエータになる可能性が高い人物として評価している。
9.開発成果と評価

・グループの高見君は、未踏に取り上げられたことがきっかけで、アルバイト先の会社(広告デザイン会社)がウェブ利用に力を入れるために、アルバイト学生から4月1日に社長に就任(今年の元旦の英文読売で報道)。



・荻野君は、ACMのプログラミングコンテストで日本代表チーム(1チームだけ)の3人のうちのひとりに選ばれ、世界大会ではチームが4題解いて銅メダル(金は6題、銀は5題)となったが、そのときに本人は2題解いている。世界大会には世界から精鋭64チームが参加したが、もともとは世界中で数千のチームが地区予選を行って勝ち抜いてきたものである。ロシアや中国など国をあげて準備している国のいる中で、大学の単位や卒論(もちろん未踏も)をやりながらの成果であるため立派であると考えている。



・電子商取引で問題となるプライバシー保護を考えたシステムを提案し実際に開発した。提案能力、プログラム能力は優れておりある程度の実用性のあるシステムとなったが本格的に利用されるにはいたっていない点が問題といえる。このプロジェクトでは、先に述べたような付随的な成果は出ている。